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□嫉妬を超えて
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『はぁ…はぁ…いい?』


『うん…きて…』


『…っ…くっ…凛っ…』


『やっ…はっ…ん…』




今私は1人夜のリビングで見たくもない2人のラブシーンを見ている。



俐空が出てるドラマはどんな内容のものでも見るようにしてる


割り切ってるからキスシーンとかあっても気にしない


でも今回だけはそうもいかなかった。



まずこんな激しいラブシーンあるなんて聞いてない

夜中にやってるだけあってギリギリもいいとこ。



そしてなにより相手が高校の時夜中の練習時に会ってた女の子で8年振りに再会したとか


隠れて会ってただけでもいい感じしないのに再会して仲良くなってドラマで恋人役


俐空は何も気にしてない見たいだけど私は不安でしょうがない…。




「本当じゃないってわかってるけどなんか嫌だな…。」




でも私にはどうすることもできなくて膝を抱えてただ流れてくるドラマを見つめてた。




「ただいまー。」


「はぁ…。」


「どうしたんだ?
そんなため息ついて。」


「なんでもないよ…。」


「なんでもなかったらため息つかないだろ?
あ、今撮ってるドラマやってんじゃん。」




頭を撫でて心配してくれたけどドラマに気がつくと隣に座って見始めた。




「今回のラブシーンわりと自信あったんだよなー。」




今そんなこと聞きたくない


ただでさえそのことでモヤモヤしてるのに自信あるなんて言われたら私はどうしたらいいの?



見始めたのが遅かったからものの数分でドラマは終わった。




「もう終わりか…
玲奈どうだった今日の回?
なかなか良かっただろ。」


「そうだね…。」


「ほんとどうしたんだよ。
なんか今日様子変だぜ?」


「なんでもないって言ってるでしょ…。」




優しく後ろから抱きしめてくれて心配してくれてるけど今は冷たくしかできない


でもきっと俐空はどうしてそうなってるかわかってる。



だって今までも私の嫉妬は全部見破られてきたんだもん


本当にわからなかったら優しく話しかけて聞き出そうなんてしない。




「嫉妬してんの?」


「……。」


「だとしたら嬉しいけどな。
玲奈が嫉妬するくらい今回は本物に見えたってことだろ?」


「…なんで?」


「え?」


「…なんでそんな風に見られて嬉しがってるの?
確かに俐空にとってはそれがいいことかもしれないけど…
私にとっては…辛いよ…。」


「玲奈…。」




私がそう言って涙を流すと俐空は困ったような表情をした。


そりゃそうだよね…

そう言ったって俐空が変えられるわけないし本当はいいことなんだもん…

彼を困らせるってわかってるのに涙はなかなか止まってくれなかった。




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