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□戻らなくなった彼
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最近やっている憐音こと俐空が出ているバスケットの恋愛ドラマ
それをいつも朔夜さんと一緒に観てるんだけど最近ふと思う
いつのまにか俐空が昔に戻ることなくなったなぁって。
ドラマでもユニフォームは着てるし最初は戻らないか心配してたけど
中学のあのユニフォームじゃなかったら大丈夫なのかなって思った。
「やっぱバスケ部だけあって上手いね。」
「練習はするみたいだけど本当のバスケット選手みたい。」
「…惚れた？」
「朔夜さん、これドラマです。」
戻らなくなって６年
結婚して４年
それなのに未だに朔夜さんは俐空のことを敵視してる。
２人して憐音のファンだから出ている番組は一緒に見るんだけど
毎回朔夜さんは終わった後に俐空を好きになってないか聞いてくる
私が好きなのは朔夜さんだけなのに心配性なんだから。
「憐音は好きでいていいけど俐空はダメだからね！」
「私が好きなのは朔夜さんだけだよ？」
「りんちゃ〜ん！」
「シーッ！
子供たちが起きちゃうっ。」
夜中なんてこと御構い無しに声を出して抱きついて来る
嬉しいんだけどちょっとは時間を考えて欲しい…
でも朔夜さんが不安になるのもわからないわけじゃない
だってあの頃の私は朔夜さんだけを見てなかったから。
俐空が昔に戻るたび心の何処かで少し喜んでる自分がいた
大好きだった俐空に抱きしめられてキスされて一緒にいられて
もちろん一番は朔夜さんだけど…
心が俐空になかったらバレないように合わせたりしなかったと思う
拒むことはいつでもできたはずだから。
戻らなくても俐空と２人きりで夜公園で会ったりしてたこと
朔夜さんは気づいてたみたいだけど
今でもたまに会ってるって知ってるのかな…？
「りんちゃん。」
「なに？」
「愛してる。」
「朔夜さん…。」
「どこにもいかないで…。」
私の心を見透かすようにそう言ってぎゅっと抱きしめられた。
「私も、愛してる…。」
この気持ちに偽りなんてない
俐空が朔夜さんに勝ることなんてないし私が愛してるのは朔夜さんだけ
でも俐空と会うことをどうしてもやめられない
私は心の中で謝って朔夜さんに抱きついた。
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