キミに伝えたくて

□大好きな彼
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「……な」


っん?


「…れな」


誰かが私の肩を揺すってる

ゆきりんかな…


「玲奈、大丈夫か?」


目を開けるとそこにはゆきりんじゃなくて、

私がどうしても会いたかった大好きな人の姿


「俐空、なんでいるの?」


「学校終わって携帯見たら玲奈が倒れたってメールがきてて、
慌てて来たんだ」


倒れた?

私は医務室で休んでただけなんだけど


「誰からメールきたの?」


「麻里子だよ」


先生…

気を使ってくれたんだ。


「大丈夫か?
頭とか痛くないか?」


久々に見る俐空の心配そうな顔

すごく可愛く思えて頭を撫でてあげた。


「玲奈?」


「大丈夫だよ
わざわざ駆けつけてくれてありがとう」


「よかったぁ〜」


安心したのか俐空はベッドに頭をつけた


「才我に言われたんだ
玲奈が寂しがってるぞって…」


「才我君が?」


「俺、玲奈に寂しい思いさせてないつもりだったのに
我慢させてた
ごめん…」


「俐空は悪くないよ」


「もうこれからは朝絶対に大学まで送ってくから」


「わかった」


彼の顔を見ると安心する

アイドルが俐空に似てても関係ない

今は朝の寂しさが嘘みたい


「玲奈」


「なに?」


「キスしよ」


「えっ
や、やだよ//」


「いいじゃん、しよ?」


どうしてこの流れになったかはわからないけど

とりあえずキスはしない

誰か来るかもしれないこの医務室でなんかできないよっ


「しようよ…」


肩を押してるのにも関わらず頬に手を添えられ

どんどん顔を近づけてくる。


「れな…」


唇が触れる寸前で止められ、

甘い声で名前を呼ばれる


「だめ…?」


俐空はズルい…

私がどうしたら折れるか知っててやってる


「いいよ…」


結局私は折れて俐空の唇を受け入れた。


チュッ…


触れただけの軽いキス

でもそれだけで私の心は俐空で満たされる。


「もう、誰か来たらどうするの?」


「最初から来てるよ」


「え…?」


「由紀、出て来ていいよ」



俐空の言った通り、
扉の影からゆきりんが出てきた。


「玲奈が心配できたんだろ?」


「うん…
でもいい雰囲気だったから入れなくて」


「気遣わせたな」


「ううん
あ、玲奈ちゃん大丈夫?」


「うん、もう大丈夫だよ」


「よかった
じゃあ私朔夜さん待ってるから行くね?」


「また後でね」


「ばいばい」


ゆきりんは医務室から出て行った。


「私たちも帰ろっか」


「あぁ、そうだな」


ベッドから立ち上がるとずっと寝ていたからか
立ち眩みが起きた。


「っ…」


「玲奈!」


倒れそうになった体を
ガッチリ俐空が支えてくれる

いつの間にこんなに男らしくなったんだろう…


「本当に大丈夫か?」


「大丈夫
ただの立ち眩みだから」


大学の帰り道
手を繋いでゆっくり帰る


「来てくれてありがとう」


「え?
いつも迎えにいってるだろ?」


「それでも嬉しかったの」


そう言うと俐空はいきなり立ち止まった。



「俺はどこにいたって
玲奈が呼べばすぐに行くよ」


そう真っ直ぐな目で言う俐空は、
いつもより少し格好良かった。
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