キミに伝えたくて

□変わる瞬間1
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「私朔夜さん捜してきますね」


「じゃあ俺は玲奈を捜してくるよ」

「お願いします」


私は朔夜さん、
才我さんは玲奈ちゃんを捜しに行った。


「朔夜さん?」


体育館の周りを探すと
朔夜さんはすぐに見つかった

階段に座って俯いてる


「朔夜さん」


後ろから抱きしめると体がビクッとはねた


「俺りんちゃんの彼氏なのに…」

「はい」


「試合やるときの俐空の彼女はりんちゃんで…」

「はい…」


「仕方ないって分かっててもやっぱり嫌なんだ…


「朔夜さん…」


私だって好きで俐空の彼女の振りしてるわけじゃない…


本当は違うんだよって言ってあげて、

試合するときも玲奈ちゃんの彼氏でいてほしい。


だってその時の朔夜さんも玲奈ちゃんも凄く辛そうな顔するから…

特に玲奈ちゃんは泣きそうになってる


私は馴れても、

朔夜さんと玲奈ちゃんは 馴れられるわけ無いよ。


「りんちゃん…」


私の方を向き胸に顔を埋めてきた。


「俐空がりんちゃん抱きしめると、
ぶん殴りたくなる…
俺の彼女になにしてんだってさ」


朔夜さんが小さく見えて
頭を抱え込むように抱きしめた。


「俐空はフリですけど朔夜さんはフリじゃありません
私は朔夜さんの本当の彼女です
安心してください」

「うん…」



本当は私も辛い…


2人が悲しそうにするのがわかってるのに彼女のフリをする

彼氏じゃない俐空から抱きしめられたりキスされること


でも一番辛いのは
俐空が元彼だってこと。


好きだった人だから

あの笑顔で名前を呼ばれると
心が揺らぎそうで怖い。


でもそれは絶対2人には言えないこと。

玲奈ちゃんと朔夜さんに比べたら全然辛くないことだから


「本当だったら俐空を殴れるんだ
でも殴れないのは
一番辛いのが俐空ってことをわかってるからなんだ」


「そうですよね…」


「彼女は玲奈の筈なのに試合をするときはりんちゃん…
元の俐空に戻ったとき
辛そうにしてるのを見たんだ
だから憎めない…」


「私も分かってるから
無視できないんです…」


私と朔夜さんはそれからしばらくの間抱き合っていた。

お互いの体が離れたのは体育館で終わりのブザーが鳴ったときだった。


「試合、終わりましたね」


「行きなりんちゃん」


「でも…」

「俺はもう大丈夫だから」



嘘…

朔夜さんは嘘をつくとき
一瞬だけ目をそらす


「俐空がりんちゃんのこと探してるはずだよ?」


でもそれは朔夜さんの精一杯の強がりだから


「由紀ー!」


試合が終わったのか

何処からか俐空の声が聞こえてくる。


「ほら、行きな」

「わかりました」


私は朔夜さんに一度唇を押しつけて、
俐空の元へ戻った。

これは精一杯の私から朔夜さんへの慰めだよ
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