キミに伝えたくて

□止まったままの記憶
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「ん…
っ…いってぇ…」


目を覚まし起き上がろうとすると

頭に激痛が走った。


「俐空!」


「由紀…」


「大丈夫?」


「まぁな…
わりぃな心配かけて」


ベッドの横には由紀が座っていた。

心配してきてくれたんだろう


元カノに心配かけて駄目だな俺…


「今枝君」


扉が開くと医師が入ってきた。


「幸い頭の怪我以外にはどこも支障ないから
傷が治ったら退院していいよ」


「はい」


よかったぁ

バスケできないとか言われたら最悪だからな


それから二週間後俺は退院した。


中3になった俺は玲奈と付き合い、

由紀は朔夜と付き合った。


完全に治ったと思ってやったバスケの大会

この日に思いがけないことが起きた。


大会のためにユニホームに着替えると何か違和感

昔に戻ったような感覚


「俐空〜」

「見に来たよ」


玲奈と由紀が俺に手を振る


「由紀!」


俺が近寄ったのは、

彼女の玲奈じゃなくて由紀だった。


「え?」

「ちょっと俐空っ」


由紀を抱きしめると押し返された。



なんでだ?

由紀の彼氏は俺なのに…


「抱きつく相手が間違ってるよ」


「間違ってねぇ
俺の彼女は由紀だろ?」


「俐空の彼女は玲奈ちゃんだよ」


「はぁ?
そんなことありえねぇ」


俺は昔の俺に戻ってしまったのだ。

まだ由紀と付き合ってた頃の俺に…


玲奈は涙目で体育館から出て行き、

由紀は複雑そうな顔をした。


とりあえず試合をし、

俺は玲奈と一緒に病院に行った。


玲奈が事情を話す


「…と言うことなんです」


「んー
記憶が一時的に戻っているようですね」


「戻る?」


「事故の日の大会は本当は由紀さんの為にやったもなのでしょう
なので大会の日ユニホームを着ると記憶が戻ってしまうのです」


記憶が戻る…


「治るんですか?」


「可能性は極めて低いです
治す方法も見つかっていません」


俺はあの日から変わってしまったんだ。
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