キミに伝えたくて

□変わる瞬間3
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ドンドン

ポスッ

ダンダン

シュッ


夜中に一人でやるバスケは嫌いじゃない


何も考えなくて良いし、

唯一一人になれる時間。


やっぱりバスケはいいよ

無心になれるし、

他の事を一切考えなくて良いから


でもそんな俺をいつも見てる人がいる。

玲奈と同い年位の女の人

話しかけてみようとは思うけどなかなかなぁ…


初対面の人に話しかけるのは好きじゃない

だからタイミングが掴めないでいた。


バスケをしながらそんなことを考えて約一時間


「あっちー」


いい感じに汗もかいてきて

一休憩にボールの上に座った。


「声かけてみるか…」


そう思っていたまさにそのとき


「俐空…」


やってきた玲奈に後ろから抱きしめられた。


「今俺汗かいてるから離れた方がいいぜ?」

「大丈夫…」


腹の前で組まれてる手にギュッと力が入る。


「どこ行ったかと思った…」


「わりぃ
寝てたから起こさないように来たんだ」


「キスされたときから起きてたよ
陽菜さんとの会話も聞いちゃったし」


「盗み聞きはよくないぜ?」


「聞こえたの」

「わかってるよ」


肩に顎を乗せて密着してくる。



今日は甘えたい日なんだろうか

いつもは汗嫌がるのに


逃げられるのは嫌だけど

汗をかいてるのに抱きつかれるのも不思議なかんじだ。


「俐空…」

「なんだ?」


「どこにも行かないで…」

「どこにも行かないよ
俺は玲奈の彼氏だからさ安心しな」

「うん…」


頭をポンポンっと叩くと

か細い返事が返ってきた


これは不安な状態

珍しいな、ここまでのは


「不安だからキスマークいっぱいつけたんだろ?
こんだけつけられたらそう簡単には消えない
玲奈は俺の、
俺は玲奈のものだから」


「うん…」


それからしばらく俺たちはこの状態でいた。


「玲奈」


返事がない…


「玲奈?」


倒さないように後ろを向くと

小さな寝息を立てていた


「ったく…
しょうがねぇなぁ」


寝てしまった玲奈をおぶって部屋に帰った。


ベッドにおろすとまた不安な表情をする


頭を撫でると普通の寝顔に戻った。


「不安にならなくても
俺は玲奈を置いてどこにもいかないよ」
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