キミに伝えたくて

□恋の相手
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医務室を出ると休憩室に陽菜はいた。


「何であんなこと言ったんだ?」


「ゆうちゃん本当にわからないの?」


「なにが?」


「その高校生が誰か」


「そんな子周りには…
あ…」


「いるでしょ一人」


カッコ良くて、優しい

バスケがうまい

ここの大学生を彼女に持ってて

帰りを待つために医務室に居座る高校生


「俐空だ…」


「麻里ちゃんは俐空を好きになっちゃったの」


俺はなんてこと言ったんだろう

頑張れって

付き合えるように協力するって…


それはつまり俐空を玲奈と別れさせるってこと

別れさせて麻里ちゃんと付き合わせる

そんなこと俺にはできないっ


「俺麻里ちゃんに…」


「謝っちゃ駄目だよ
それは一番しちゃいけないことだから」


「わかった…」


陽菜はそれに気づいてた

だから何も言わなかったんだ。


「玲奈ー!」


「俐空また来たの?」


「だって玲奈と少しでも長く一緒にいたいから」


「もう//」


廊下から聞こえてくるカップルの声


どんな気持ちで麻里ちゃんはこれを聞いてるんだろう


そのことを思うとやるせない



「みんなが幸せになる方法はないのかな?」


「それはないよ
陽菜がゆうちゃんと付き合うことで苦しんだ人もいるんだから
誰かが付き合えば誰かが傷つくんだよ」


恋とかそういう話になると陽菜が大人にみえる


まぁいつも大人なんだけどさ…


「陽菜…」


「ゆうちゃん?」


そんな話を聞いてるとなんだか不安になってくる

陽菜を離したくなくて大学だけど抱きついた

もちろん怒られる覚悟で


でもこういうとき陽菜は俺を引き離したりはしない


抱きしめ返してくれて頭を撫でてくれる


「陽菜はゆうちゃんから離れたりなんかしないよ」


「陽菜ぁ」


「だから不安にならないで?」


「うん」


「ちゃんと陽菜を捕まえててよ」


恋人とははいつか別れる

でも俺は陽菜と絶対に別れない


麻里ちゃんが俐空を好きになったように

誰かは陽菜のことを好きかもしれない。


誰が誰を好きになってもそれは仕方のないこと


だけど別れないのはお互いがお互いを必要としてるから


麻里ちゃんには悪いけど

大切な友達を引き離すなんてことは俺にはできない。
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