キミに伝えたくて

□学部旅行2
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「全員乗ったな?
出発するぞ」


玲奈ちゃんの隣に座ったままバスは出発した。


「いいの?
朔夜さんの隣に行かなくて」


「だって玲奈ちゃん寂しそうだから
私でよければ話し聞くよ」


「ありがとう…」


玲奈ちゃんにはいつもの笑顔がない。


おそらくそれは俐空がいないから何だろうけど、

さっきからため息しかついてない。


「大丈夫?」


「うん…
私俐空と離れる度にこんな風になってるね…
どうしようもないことなのに…」


「玲奈ちゃん…」


「なんか私ばっかりでね?
俐空は普通に出て行くのに…」


「そんなことないよ」


私たちが話していると

座席の間から朔夜さんが顔を出した。


「朔夜さん」


「あいついつも寂しがってるよ?
玲奈がいないと何もやる気起きないって」


「でも私の前では元気ですよ?」


「彼女の前ではカッコつけたいんだよ
弱いとこ見せられないからさ
それに、
俐空はいつも全部玲奈の為に頑張ってるんだ」


「私の為?」


「喜ぶ姿とか嬉しそうな顔が見たいんだってさ
だから強がってるだけなんだよ」


「ありがとうございます少し元気でました」


「どういたしまして」


朔夜さんは私にウインクをして座った。


大丈夫ってサインなんだと思う。


ホント朔夜さんは優しいなぁ


よく人のこと見てるし


こういう時も励ましてくれる


悪く言えば盗み聞きしてるってことだけど…


「あんなこと思ってたんだ…」


「よかったね
本当の気持ちがわかって」


「うんっ」


よかった

元気でたみたいで


俯いていた顔を上げ、

やっと目が合うとあることに気が付いた。


「ねぇ…」


「なに?」


「キスマークついてるよ?」


「えっ//」


「ここに」


教えてあげて鏡を確認する玲奈ちゃん。


見つけると顔を真っ赤にしちゃった。


「いつのまに//」


「やっぱり俐空も寂しかったんだね
きっと朝つけたんだよ」


「うん//」


いつもは慌てて隠す玲奈ちゃんだけど、

今日ばっかりは嬉しそうに跡を触っていた。


嬉しかったんだよね

ちゃんと思っててくれてたってわかって


キスマークに気づいてからは、

ずっとニコニコ顔の玲奈ちゃんでした。
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