キミに伝えたくて

□浴衣の彼女は誰よりも綺麗1
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「やっぱりお祭りは人が多いですね」


「りんちゃんとはぐれないか心配…」


「私そんなに浮ついてません」


「人混みに流されるかもしれないでしょ」


それに可愛いから連れ去られたりしたら大変っ


しっかり手握ってないとダメだな


「じゃあ朔夜さん手離さないでくださいよ?」


「当たり前」


組んでいた手を繋ぎ直してその手を見せた。


離さないよってわかるように


「りんちゃん何か食べたいものある?」


「かき氷食べたいです!」


「じゃあ買いに行こっ」


少し歩くとかき氷の屋台はすぐに見つかった。


「何味が良い?」


「じゃあイチゴでお願いします」


「わかった
おじちゃん!
イチゴ一つねっ」


「あいよ!
にいちゃんたちデートか?」


「うんっ
毎年この夏祭りに来るんだ」


「そうか!
じゃあオマケしといてやるよ」


「やったねりんちゃん♪」


「はい♪」


おじちゃんからかき氷を受け取って近くのベンチに座った。


いやぁいい夏祭りだなぁ

りんちゃんは可愛いし、

おじちゃんにかき氷オマケしてもらえたしさっ


「優しい人で良かったね」


「オマケもしてもらえていい人でした〃」


かき氷を美味しそうに食べてるのを見たら
俺も食べたくなってきた。

「一口頂戴?」


「どうぞ」


一口分掬って目の前にスプレーを持ってきた。


いわゆるこれは王道の
あ〜んってやつですね


「うん、冷たくておいしい」


「買って貰ってありがとうございました」


「喜んでくれたなら買ったかいがあったよ」


嬉しそうなりんちゃんを見ると俺も嬉しくなる


感情を共有できるっていいよねっ


俺たちはその後
いろんな屋台を回り、
射的をやったりして楽しんだ。


「楽しかったですねっ」


「そうだねっ
あ、俺ちょっとトイレ行ってくる」


「わかりました
じゃあ横のベンチで待ってます」


「うん」


変な人に絡まれない内に戻ってこないとっ


俺は速やかにトイレを済ませさっきの場所へ行った。


「おまた…せ…」


だけどりんちゃんはどこにもいない


もしかして連れ去られた!?


嫌な考えばかり浮かんで焦ってくる。


「落ち着け…
とりあえず捜そう」


手当たり次第にりんちゃんを捜した。


神社も屋台もベンチも…


それでもりんちゃんは見つからなかった。


「どうしよう…」


本当にパニックになりそうになったとき後ろから肩を叩かれた。


振り返るとそこにはいなかったりんちゃんの姿


「ごめんなさい、
急にいなくなって…キャッ」


「よかったぁ…」


安心から思わずりんちゃんを抱き寄せた。


「連れ去られたかと思った…」


「ご迷惑をおかけしました…」


「どこ行ってたの?」


「迷子の男の子がいて、
その子のお母さんを捜してたんです」


「それでお母さんは見つかったの?」


「はい
思ったより近くにいて直ぐに見つけられました」


「ならよかった
でも今度からはいなくなるとき声かけてね?」


「すいませんでした…」


怒ってないよって頭を撫でてあげると

りんちゃんに笑顔が戻った。



バーン!…ドーン!…



そんなとき花火が打ち上がった。


「花火だぁ…」


「ここから見るのもいいね」


ちょっといた場所は良い感じに花火が見られた。


スポットじゃないけどここからも悪くない


「来年も一緒に来ようね」


「はい
朔夜さんと来年も花火見たいです」


花火をバックに映るりんちゃんの笑顔


俺の前に二つの花が綺麗に咲いた。
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