キミに伝えたくて

□浴衣の彼女は誰よりも綺麗3
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「あれ…」



後ろから見て初めて気づいたこと


ともちんがフラフラしてる


もしかして調子悪かったのか?


それを隠すために俺にくれてたんだ…



「ともちん!」


「なに…」


「こっち来て!」


「ちょっと才我っ」



手を引いて人混みがないところに移動した。



「ん…」



自分の膝の上に座らせておでこに手を当てた。



「熱い…」



熱があったのか?

それとも熱中症になったのか?


どっちかはわからないけど気づいてやれなかった自分に腹が立つ…


こんな近くにいて、


ずっと一緒だったのに…



「大丈夫だよ…」


「ともちん…」


「心配しないで…」



そうは言うものの頬は少し紅いし苦しそう…



「俺ちょっと飲み物買ってくるっ」


「待って!」



立ち上がり行こうとすると服の袖を掴まれた。



「ともちん?」


「ここにいて…
お願いっ」



涙目で言う彼女には勝てず仕方なく腰を下ろした。


でもこのまま座っていても体調は良くならない


どうしよう…



「あれ、才我じゃん
どうしたんだ?」



顔を上げると運良く優と陽菜がいた。



「ともちんが熱中症になっちゃって…
悪いけど水買ってきてくれないか?」


「わかった」



その後水を受け取り2人と分かれた。



「水飲んで」


「うん…」



蓋を空け飲ませると少しだけど落ち着いた気がした。



「大丈夫?」


「ごめん才我…」


「なにが?」


「迷惑かけちゃって…
せっかくの夏祭りなのに」


「気にしないで?
俺はともちんといれたら何でもいいから」



正直今凄く嬉しい


体調を崩すとともちんは素直になる


それが今見られるなんて不謹慎だけど嬉しいんだ


普段強がるともちんが唯一甘えてくれる瞬間だから



「才我ぁ…」


「大丈夫だよ…」


「んっ…」



心配する彼女に優しくキスをすると目を潤ませた。



「うつっちゃうよ…」


「熱中症ってうつるの?」


「わかんないけど…」


「だったらうつしてくれていいよ
ともちんが楽になるなら俺が苦しくなっても」


「だめ…んっ…だって…」



俺はその言葉を無視して唇を何回も重ねた。



ともちんに楽になってほしい


前では屋台の光が、

後ろでは綺麗な花火が俺たちを照らしてくれていた。
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