ヤンキーの俺と清楚な彼女2

□憎むこと
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「じゃあ見なくていい。」


「ひっく…ひっく…。」



抱き寄せて胸に顔を埋めさせた。



「どうして…殺せなんて…言ったの…?」


「俺は今まで敵を倒し仲間を殺されてきた。
相手のことは知らない
けどきっと戦争の中で俺は何人も敵を殺したんだろう。」


「うん…。」


「俺たちは仲間を殺されて奴らを殺したいほど憎い…
でもこれは相手も気持ちは同じだから毎回言ってやるのさ
憎いなら俺を殺しに来いってな。」


「死んじゃいや…。」


「わかってる
だけど戦争ってのは生か死かどちらかしかない
俺もいつかは殺されるかもしれないんだ。」


「蓮…。」



胸に置かれていた腕が俺の首に回った。


苦しいくらい抱きついてきて玲奈の涙が首筋に落ちる

一応気持ちはわかってるつもりなんだけどな。



「俺は今まで多くの仲間を失って敵を殺してきたその分の命は全部俺の背中にのしかかってる…
仲間だけじゃなくて敵の命も背負ってるんだ。」


「ヤンキーなんてやめちゃえばいいのに…。」


「無理だ
俺は黒龍の総長だからな。」



頬を撫でれば体を離しやっと目を合わせてくれた。



「なら1つだけ約束して?」


「約束?」


「黒龍は蓮が絶対に喧嘩してでも守らなきゃいけない場所なんだってわかった…。」


「玲奈…。」


「でも私の前と学校ではもう喧嘩しないでっ
蓮の傷付く姿もう見たくないの…。」


「っ…。」



すぐにそれは無理だって言おうとした。


けど玲奈の腕に残る傷跡が目に入ったら言えなかった…。


喧嘩のせいでついた傷

関係ない女の子の体に傷をつけた

それは紛れもなく俺が悪い

それが彼女だから余計に首を縦に振るしかなかった。



「わかったよ…。」


「蓮…。」



腹にできた傷を手で撫でた。



「んっ…。」


「もう玲奈の前と学校では喧嘩しねぇ
約束だ。」



「ありがとう…。」



俺は人を恨み人から恨まれる存在

それは黒龍にいる間ずっと変わりはしない。


喧嘩をすれば憎しみは生まれる

断ち切れない恨みもある

必ずきっと俺はこの先も玲奈を巻き込んでしまうだろう

だからこれくらいの願い叶えてやらねぇとな。





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