ヤンキーの俺と清楚な彼女2

□喧嘩
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「はぁ…。」



ここに来るのがこんなにも足が重いとはな

ついため息まで出ちまった…。



「やるしかねぇか。」



玲奈が帰ってるから扉は開いてる

悪いが勝手に上がらせてもらうぞ。



「おじゃまします。」



一応挨拶して中に入った。



「蓮さんこんにちは!」


「お、お前は玲奈の弟っ。」


「珠璃です!」



独り言のように言ったはずなのに返ってきた声

その声の主は玲奈の弟の珠璃

中学生だから帰ってきてたんだ。



「お姉ちゃんですか?」


「あぁ、いるか?」


「いますけど…。」


「なんだ?」


「…泣いて部屋に行きました。」


「わかった。」



謝るって決めた

泣いてるなら慰めてやらねぇといけねぇ。



「あのっ!」


「あぁ?」



玲奈の部屋に行こうとしたら弟に止められた。



「喧嘩でもしたんですか?」


「ちょっとな。」



「初めてなんです
お姉ちゃんが泣いて帰ってきたの…。」


「……。」


「だから慰めてあげてください…
そしてもう泣かさないでください!
僕お姉ちゃんの泣き顔見たくないんです…。」



こいつ…。



「わかった
男同士の約束だ。」



俺と同じくらいシスコンだな

いや俺の方がひどいか。



「ありがとうございます。」


「おう。」


「僕これから練習あるのでゆっくりしていってください。」


「またな。」


「はい!」



慰め方なんてわからねぇし多分俺には涙を拭うことくらいしかできない

それでも良いよな弟?

彼氏として精一杯のことはしてやるから。



「玲奈入るぞ。」



ノックをして開けたドア

だけどその中には誰もいなかった。



「いない?」



制服とカバンはある

着替えてからどこかに行ったんだ。



「はぁ…。」



なんか拍子抜けちまったぜ…

若干緊張してたのによ。



「ん?」



学ランを脱ぎ捨てベッドに座り手をついたらあることに気づいた。



「濡れてる…。」



ベッドに寝転んで泣いてたんだ…

それもついさっきまで。



「玲奈…。」



絶対まだ泣いてる

そんなことわかっちまえばじっとしてられない

部屋を出て家中を捜した。


そして見つけた…。



「ヒック…れ…んっ…ぅ〜。」




シャワーの音でかき消そうとしたんだろうけど無意味

玲奈の泣き声が俺にはちゃんと聞こえたんだ。





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