トライアングル

□第3章
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乙「えっと佐江先輩はと…。」




ボールの音と部活の声が響く体育館に俺は来た。




柏「佐江ちゃんはバスケ部だから体育館行ってみて。
自主練もしてるからきっと陸上部が終わってもやってるよ。」




…って佑紀が言うから来たんだけど


自主練って1人じゃねぇのかよ。




「佐江こっち!」


佐「優子っ!」


優「はいっ!」




ほぼ全員集まって試合してやがる


何気に優子も混じってるし。




『残り5分!』




頑張ってるのに水差すのは気が引ける


自主練と言う名の試合が終わるまで待つことにした。




「あの…。」


乙「ん?」


「誰か待ってるんですか?」


乙「まぁね。」


「これいつ終わるかわかりませんよ?」


乙「え?」




縁で立ってた俺を心配して来てくれたマネージャーらしき女の子


この子が言うには自主練が終わる時間はバラバラらしい


時には8時や9時まで続くんだってさ。




乙「まじかよ…。」


「でも佐江先輩が今日は用事があるって言ってたので。」


乙「もしかしたら早く終わるかもしれないか。」




多分その用事は友紀だろうな


あいつ今日なんか嬉しそうな感じだったし。




佐「じゃあ私は先に上がらせてもらうね。」


優「すいません。
今日は私も上がらせてもらいますっ。」


『お疲れさま!』




マネージャーの言ったことは的中


2人は途中で抜けるみたいだ。




乙「佐江先輩お疲れさま。」


佐「あっ!乙輝くん!」


優「どうしたの?」


乙「お前には用ねぇの。」


優「むっ。」


乙「寄り道すんだから早く着替えてこい。」


優「は〜い。」




そうそう優子には用ねぇの


俺がずっと待ってたのは佐江先輩の方だ。




佐「優子じゃないってことは私?」


乙「佑紀が佐江先輩と人気のクレープ屋に行ったって。」


佐「あそこ美味しいよね!」


乙「そこの場所教えてくれない?
今日行きたくてさ。」


佐「もちろんいいよっ。」




場所を教えてもらうと丁度俺らの帰り道


これだったら遠回りせずにすみそうだ。




優「乙輝着替え終わったよ!」


乙「わかった。
佐江先輩ありがとう。」


佐「いいよ全然。
でも…。」





優子の方へ向けた体をもう一度先輩の方に向ける


顔を見れば少し不服そうだ。




乙「なに?」


佐「これからは佐江先輩じゃなくて佐江って呼んで?」


乙「それはさすがに佑紀に怒られるよ。」


佐「そうかなぁ〜。」




そうだよ絶対

あいつ嫉妬深そうな目してんだから。




佐「じゃあ佐江ちゃんって呼んで?
これだったらきっとりんちゃんも怒らないよ。」


乙「まぁそれだったら。」


優「乙輝〜?」


乙「じゃあ俺行くね。
場所教えてくれてありがとう。」


佐「バイバーイ!」


優「なに話してたの?」


乙「お前には教えてやんねぇ。」


優「ケチ〜。」


乙「ケチで結構。」




場所も教えてくれて愛想いいし

先輩……じゃなくて佐江ちゃん良い人だったな。



佑紀が惚れるのもわかる気がする。





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