トライアングル

□第11章
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とりあえず教室に戻ってどこから探そうか考えてたら廊下からすすり泣く声が響いてきた。



ほとんどの生徒が下校して部活に行ってる中


構内に残ってる人なんて今の俺の中じゃ1人しか思い浮かばない


廊下に出ると彼女は友達に支えられて泣いていた。



乙「あっちゃん…。」


敦「乙輝…私…振られちゃった…。」


乙「うん…
さっきリクに聞かされたよ。」


敦「優子が好きなんだってっ…
でもっ…知ってたのっ…
リクが優子を好きってことっ。」


乙「うん。」


敦「でもっ…
それでも付き合っていられればよかったっ…
まだ私のことっ…好きでいてくれてるんだって…
けど違ったっ…。」



あっちゃんが苦しそうにそう話すのを聞いてると俺も苦しくなってくる


隣にいる高橋なんてもらい泣きして号泣してる


思いっきり泣くのを我慢しながら必死に俺に気持ちを伝えてくれてるんだ。



敦「でもねっ?
私リクの前じゃ泣かなかったんだよっ?
泣いたらリクのこと困らせちゃうからっ…。」


乙「よく頑張ったね…
でもリクはもうここにはいない…
だからもう泣いていいんだよ?」


敦「いつっ……き……うわぁぁぁん」



頭を撫でてそう優しく問いかけるとあっちゃんは糸が切れたみたいに泣き出して俺にしがみついてきた。



だから俺は精一杯優しく抱きしめて泣いてるあっちゃんを受け止めた。



苦しかっただろうな


付き合ってるのに好きな人には自分以外の好きな人がいて


しかもその相手が親友なんて。



付き合ってるだけでよかったなんて絶対嘘だよ


苦しくて必死にリクの視線を自分に振り向かせようとして


でもあいつはあっちゃんを通り越してでも優子を見てたんだ。



なんで俺の周りはこううまく恋愛できないんだろうな


自分を含めて三角関係どころか四角関係だなんて…


難しい恋を選んじまったもんだ。



敦「ひっく……ひっく……。」



どれくらいたったかな…


しばらくするとあっちゃんの泣き声が小さくなってきた。



乙「大丈夫?」


敦「うん…ありがとう…。」


乙「高橋も大丈夫か?」


高「ばいぃぃぃっ。」


乙「なんであっちゃんと同じくらい号泣してんだよっ
泣き止みなって。」


高「っ…//」



高橋の頭を撫でると顔を真っ赤にしてさっきまで泣いてたのに急に泣き止んだ。



乙「どうした?
顔真っ赤だぞ?」


高「ななななんでもないっすっ//」


乙「そうか?」


敦「はぁ〜スッキリした…
乙輝、私と優子以外の女の子の頭気軽に撫でたりしちゃダメだよ?」


乙「なんで?」


敦「私たちは慣れてるからいいけど他の子は免疫ないんだから
そんなことされたらすぐ好きになっちゃうよ?
たかみなが良い例。」


高「ちょ、ちょっとあっちゃん!」



まぁ確かに頭撫でると大概高橋と同じ反応みんなするんだよな


優子の頭いつも撫でてるからクセになってんのかな?


誤解されても困るしちょっと気をつけるか。



敦「なんか泣いたらお腹すいてきた。」


乙「じゃあ今日は俺が奢ってやるよ。」


敦「ほんと!?
やった、直ぐ準備してくるっ。」


高「じゃあ私はこれで…。」


乙「何言ってんだ?
高橋も来いよ
泣いて腹減ったろ?
あとあっちゃんに付き添ってくれたお礼。」


高「え、でも。」


敦「せっかく乙輝が奢ってくれるんだからたかみなも行こうよー。」


乙「そうそう
良いから準備してきな。」


高「じゃあお言葉に甘えて。」



やっぱり笑顔見せられると嬉しくなるな


あっちゃんや高橋の笑顔見られるなら安いもんだ


………多分。





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