So long

□第4話
2ページ/2ページ




「はぁ…はぁ…はぁ…。」



篠田の予想通り倒れていたおチビ

息が整っていないのを見ると今日も大変だったのだろう。



「おチビっ。」


「あ……麻里子…だ…。」


「お疲れさま。」



優しく頭を撫でると嬉しそうに微笑んだ。



「毎日頑張ってるね。」


「俺なんてまだまだだからさ。
早く先輩に追いつかねぇとエースとして恥ずかしいじゃん?
キャプテンにも申し訳ないし。」


「けど頑張りすぎたらダメだよ?」


「うん。」


「さてと、
帰るから着替えといで。」


「わかった……っ…。」



立った瞬間よろめいた琉夜をとっさに支えた。



「大丈夫?」


「へへっ…。
ちょっと頑張りすぎて立ちくらみがしただけ。」


「気をつけてよ?」


「ごめんな心配かけて。」



苦笑いしながら部室へ入っていった琉夜

この時はただの立ちくらみなんだって疑いもしなかった

本当は病からくる立ち眩みだったのに…。



「お待たせ、帰ろっか。」


「ニャロ先に家にいるって。」


「まじ?
兄貴手出してなきゃ良いけど。」



夏に近づいてきた今の季節

暑いからと上にYシャツを羽織っただけの姿は少しドキドキする

小さい割には男らしい体をしているおチビ

普段少年ぽいだけあって変化に戸惑いを隠せない

本人には絶対に言わないけど。



「…里子」


「……。」


「麻里子っ。」


「…え?」


「どうかした?
俺の顔になんかついてる?」


「なんでもないよ。
エースは大変だなぁって思っただけ。」


「別に大変じゃないよ。期待されてる分ガッカリさせたくないから。
だから頑張るだけ。」



いきなりの質問にもどうじない

このポーカーフェイスが 見破られることはそうないし

おチビ相手だったらまず大丈夫

2人っきりのときは危ないけどね。



「あ〜あ…。
もう家についちゃった。」



おチビと一緒にいると時間が過ぎるのが早い

帰るときも遊んでるときもすぐに別れがくる

そう感じてるのは彼も同じだったみたい。



「また明後日会えるでしょ?」


「明日会えないじゃん…。」


「授業ないからね。」


「絶対電話する。」


「じゃあ待ってるよ。」



篠田が帰るときギリギリまでおチビは手を離してくれない


気持ちはわかるけどたまに困るんだよね

嬉しいことだけど。



「おチビ?」


「琉夜…。」


「ん?」


「琉夜って呼んでよ。」


「…琉夜。」



なんか可愛くってそっとキスをした。



「…ん……麻里子っ//」



するのは平気なのにされるのが苦手な琉夜はすぐに真っ赤になった。



「またね琉夜。」


「…おやすみ。」



最後に琉夜からキスをされて家に帰った。


別れて1分も経たない内に掛かってきた電話で琉夜と話しながら。





前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ