So long

□第5話
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キーンコーンカーンコーン



「放課終わったな。」


「じゃあ使った物の汗を拭いて終われ。」


「ありがとう…ござい…ました…。」



たった30分だけどキツい筋トレがやっと終わった。


汗を拭いて先輩が返った後も俺はその場に残っていた。


疲れすぎて体が動かない

これを毎日なんてしんどすぎるぜ…。



「疲れたねー。」


「才吾先輩筋トレに対して厳しすぎるよ。」


「秋元君トレーニング大好きだからねぇ。」


「…って、
陽菜なんでこんなとこにいんの?」



普通に喋っちゃったけどさっきまで陽菜はいなかったんだった。



「捜しに来たんだよ?
りゅうちゃんがこんなとこに行るなんて知らなかったし大変だったんだからね。」


「なんかごめん…。」


「別にいいけど。」



そう言って渡されたのは先輩に奪われたはずの制服

どうして陽菜が俺の制服を?



「さっきサッカー部の子にあってこれお願いって頼まれたの。
どこにいるのか聞かなかったから捜すの疲れちゃった。」


「先輩なにしてた?」


「彼女と仲良く話してたよ。」



いいーなぁー
先輩は昼休み彼女といられて

仕方ないことだとは言え昼休みが潰れると格段に麻里子と会える機会は少なくなる。


もう1週間くらいまともに話してないからそろそろ寂しくなってきた。



「りゅうちゃん今麻里ちゃんのこと考えてたでしょ。」


「え…?」


「優しい顔してる。」


「陽菜も兄貴のこと考えてるとき優しい顔してるよ。」


「どれくらい会ってない?」


「授業では今日会ったけどそれ以外では1週間以上会ってない。」


「寂しくないの?」


「寂しいよ?
けど今はそんなこと言ってられない。
夏大までに先輩たちに追いつかないと。」


「麻里ちゃん寂しいって言わない?」


「麻里子はポーカーフェイスだぜ?
それに大人だ。
寂しいなんて絶対言ってこねぇよ。」



言わないけど表情には出てる

きっと寂しかった?って聞いたって別にとしか返ってこない

大人の麻里子にどうしたら本音を言ってもらえるのか、

ガキの俺にはそれが全くわからないんだ。



「あ、今日夕食いらないから。」


「食べてくるの?」


「麻里子の家に行ってくる。
陽菜に話されたら会いたくなってきた。」




結局俺は子供なんだよな

会いたくなったら会わずにはいられない

麻里子みたいに我慢なんてできないんだ。





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