So long

□第7話
2ページ/2ページ





「どうして気づかないかなぁ。」


「全然会わなかったじゃんか〜。」


「そりゃ2人が付き合ってる頃篠田は21歳だからねぇ。
普通に忙しいから。」



俺の髪の毛をタオルで拭きながら麻里子は笑いながら言った。


でも俺にとっては笑い事じゃない

敦子と別れて麻里子と付き合ったときこの家の中は何もなかったのかな。


敦子は彼氏を麻里子に奪われて麻里子は敦子から彼氏を奪ったようなもの

俺が敦子より麻里子を好きになっただけだけど…

同じ人を好きになった姉妹は何もなかったのかな

2人の中が悪そうに見えるのは昔からなのか俺のせいなのか

どっちなんだろう。



「どした?」


「…麻里子は敦子と仲悪いの?」


「え?」


「なんか敦子素っ気なかったから。」


「あれは昔からだから気にしなくて良いよ。
まぁ少しは影響あるかもしれないけど、
それは敦子に聞いてみないとわからないよ。」


「そっか…。」


「どうして?」


「俺のせいだったら申し訳ないと思ってさ…。」


「おチビは謝っちゃダメ。
誰も悪くないんだから。ただ好きな人が同じだったってだけ。」


「うん…。」



いいのかなって思うけど謝ったって何も変わらない

麻里子の言う通り俺は彼女を好きになっちゃったんだ

好きな気持ちに嘘はつけない

自分より少し上にある肩に頭を預けた。



「ちょっとまだ髪の毛濡れてるでしょー。」


「いいじゃん少しくらい。」


「少しだったらね…。」


「俺麻里子が好きだよ。」


「急にどうした?」


「麻里子がめっちゃ大好き。
会えなくて寂しいのも申し訳ないと思うのもこの気持ちがあるからなんだ。」


「わかってるよそんなこと。」


「俺は大人じゃないからわからないよ。
やっと今日気づけたんだ。」


「…おチビ好きだよ。」


「え…。」


「やっとわかったなら言わないと不安かなぁって。」


「ありがとう…。」



麻里子が後ろから抱きしめてくれて体からも好きが伝わった。


あんまり言わないからこそ嬉しい

彼女の好きって言葉1つで俺はこんなにも幸せな気分になれる

麻里子も俺と同じ気持ちだといいな。





前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ