So long

□第6話
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帰宅する前に何気なくグラウンドを覗いた。


ナイターを点け夜8時だというのにボールを追いかけ走り回るサッカー部

遠目だけどおチビの姿を見つけた。



「若いねぇ。」


「麻里ちゃんおばさんみたいだよ?」


「篠田がおばさんならニャロもおばさんだね。
同い年だから。」


「陽菜はまだお姉さんだも〜ん。」



後から出てきたニャロもサッカー部を見て足を止めた。



「りゅうちゃんよく体力残ってるよね。
ほぼ1日中練習してるのにさ。」


「ヘトヘトだと思うけどな。
きっとうちに来たらすぐ寝ちゃうよ。」


「動いて食べて寝るなんてりゅうちゃん子どもみたい。」


「かわいくていいんじゃない?
篠田子ども好きだし。」


「麻里ちゃんの子ども好きは危ない気がする…。」


「ニャロそれ失礼。」



冗談も交えおチビのことを話しながら帰った。



「ただいまー。」



返事は返ってこなかったけど玄関には自分以外の靴が一足

妹の敦子がいるということを表していた。



「また寝てるのかな?」



帰宅部の敦子は帰りが早く帰宅すると大抵寝ている。


大好きなカレーを作り起こすために部屋に向かった。


コン コン コン



「入るよ〜。」



返事はないが一応断って部屋に入る。



「…スー……スー…。」



案の定敦子は気持ちよさそうにベッドで眠っていた。


この部屋に入るとイヤでも目に入ってくるモノがある。


それはおチビと敦子が付き合ってた頃の写真。


おチビが篠田を好きになっちゃって別れた2人

おチビはいいとして敦子は彼を好きなまま別れてしまった。


恐らくまだ好きなんだとと思う。


だからベッドの脇とか机の上には思い出の品々と幸せそうな2人の写真が飾ったまま

横取りしたようなものだし篠田は大人だから何も言わないけど

おチビにこの部屋は見てもらいたくないなぁ。



「…ん……麻里子…?」


「あっ
起こしちゃった?」


「ううん、大丈夫。」


「ご飯できたから下りておいで。」


「は〜い…。」



あくまでもそれは自分の中の感情

敦子には悟られないようにポーカーフェイスを作る。


おチビの元カノが妹で
しかも同じ家に住んでるなんて世間は狭すぎる。





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