So long

□第6話
3ページ/3ページ




おチビが家に来たのはそれから3時間後

11時を回った頃だった。



「麻里子…。」


「朝から夜までおチビは大変だね。」


「俺がやらなきゃいけないことだから。
どんなに辛くったって上手くなれるなら頑張れる。」


「でもちゃんと寝なきゃダメだよ?
夜遅くて朝早いんでしょ?」


「寝ることなんていつでもできるし。」


「だからって授業中寝る?
ニャロ怒ってるよ。」


「それは麻里子も同じだろ。」



2人でベッドに寝転がり久し振りの会話

いつもおチビの口から出るのは大好きなサッカーのこと。


けど今日はそれだけじゃなかった。



「なぁ麻里子。」


「なに?」


「寂しかった?」


「え…?」


「俺と話せなくて寂しかった?
サッカーの為に会う時間削ったけど、
俺はすげぇ寂しかった。」



篠田の心を察したおチビからの心配の声

ニャロの言った通りポーカーフェイスはもう彼には聞かないみたい。



「おチビ…、
寂しかったんだ。」


「…ずっと我慢してたんだぜ?
電話したくても夜遅いからできなくて、
会いたくても忙しくて会いに行けなかった。
だから…」


「だから…?」


「今すげぇ嬉しいんだ。寂しかった分幸せが大きい。」



そう言うとおチビは抱きついてきた

…というか身長の関係で擦りよってきた感じ。


ゆっくり頭を撫でてあげると眠たいのか目をショボショボさせる。



「麻里子は…。」


「ん?」


「麻里子も…寂しかった…?」


「どっちだと思う?」


「寂しかった…はず…。」


「どうして?」


「だって…寂しそうな顔…してた…から…。
俺に…会いたそうな顔…してた…。」


「…あーたーり。」



おチビには適わないな

もしかしてもう篠田のこと全てお見通し?



「おチビに会いたかったよ…。」



寝そうになりながら頑張って答えるのが可愛くて正直に言ってあげた。



「やっ…た…麻里子…。」



おチビを見れば唇に柔らかい感触

久し振りに彼の唇が重なった。



「へへっ…。
おやすみ…麻里子…。」


「おやすみ。」



篠田にキスをするとおチビはすぐに眠った。


ゆっくり会えたけど話したのはたった20分

だけどそのたった20分が今の篠田には必要だったのかもしれない。





前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ