So long

□第14話
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「は?」


「もってあと2年です。」



病院で検診を受けると笑劇的なことを告げられた。


もってあと2年?

たった2カ月で2年も寿命が縮むのか?

俺はすぐに受け止めることができなかった。



「ムリしすぎです。
サッカーは心臓にとても負荷をかけるスポーツです。
たった2カ月でもハードなことをしていれば心臓はもってくれません。」


「けどっ…。」


「自分のお身体が今どんな状況にあるか、
もう一度よく考えてください。」


「はい…。」


「このまま続けていたら寿命はどんどん縮んでいきます。
次の誕生日を迎えられなくなりますよ。」



医師の結果は俺の想像を軽く超えるものだった。


次の誕生日も迎えられないってなんだよ…

確かにサッカーを選んだのは俺だけどこんなんありか?

こんなにも早く病気が進行してくなんて…

俺は自分の病気のことを甘く見過ぎでた。



「はぁー…。」



いつの間にか帰ってきて自分のベッドに寝転んでいた。


俺の溜息は真っ暗で静かな部屋によく響く

頭中に色んな思いがよぎってぐちゃぐちゃだ。


「麻里子…。」



彼女の名前を自然と呟いてしまう俺は本当は全て話して慰めて欲しいのかもしれない。



「おチビ…。」



カチッと音が鳴って一気に部屋が明るくなる

会いたかった彼女が部屋にいた。



「大丈夫…?」


「なんで…。」


「サッカー部の子が今日おチビが熱中症になったって聞いたから。」


「あー、別に大丈夫だよ…。」



いつもみたいに笑えなくて俺は麻里子に背を向けた。


今優しくされたらきっと俺は苦しいって言っちゃうから。



「琉夜…。」



けどこういう時に限って麻里子は名前で呼んで優しく頭を撫でてくる。



「っ…。」


「…泣いてるの?」


「ちがっ…。」



麻里子の優しさが心に染みる

色んなことがごっちゃになって苦しい

そんな苦しさに耐えられなくて涙が勝手に頬を伝う

バレてるけどその涙を見せたくなくて麻里子をベッドに引き込んで彼女の胸に顔を埋めた。



「麻里子っ…。」


「なにかあった?」



優しく頭を撫でてくる麻里子につい全てを話してしまいそうになるけど俺は我慢して首を横に振った。



「篠田じゃ頼りない?」


「そうじゃない。
麻里子には心配かけたくないんだ…。」


「琉夜…。」



麻里子は勘が鋭いからもうなにかに気づいてるかもしれない

けど今は何も聞かずこうしてて?

じゃないと俺は死の恐怖に耐えられない…。





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