So long

□第20話
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「夏休み最後だけあって結構人いるんだな。」


「迷子にならないようにね?
おチビちっちゃいから探せなくなる。」


「失礼なやつだな….
高校生にもなって迷子になんてなるかよ。」


「そう?
ならいいんだけど。」



麻里子は俺をからかう時ほんとに楽しそう

本人が楽しいならそれでいいんだけど俺は複雑だ。



「あ、射的発見
おチビやってみたら?」


「よっしゃ任せとけ!」


「おじさん一回お願いね。」


「あいよ!
姉弟でお祭りなんていいね!」



ガクッ



「やっぱそう見えるのか…。」


「まぁまぁ
気にしない気にしない。」



肩を落とす俺を慰めるように頭を撫でてきた。



まぁそうですよねー

そう見えても仕方ないですよ

当たり前のようにお金を払う彼女の横に小さい男がいたらそう見えてもおかしくない

そう考えたら無性におっさんにも自分にもムカついてきた。



「景品全部撃ち落としてやる…。」


「そんなに怒らないの。」


「身長届くかい?
小さいと射的は少し不利だからねぇ。」



ブチッ



「ぜってぇ最後に当ててやる…。」


「あーあ、キレちゃった。」



ブチギレ状態の俺に怖いものなんてない

最後の一発を残してオッサンが嫌そうな景品を撃ち落とし

最後の一発を手を滑らせたと言うみえみえの嘘で顔の真横に打ってやった。



「おチビ凄いね。」


「ふん…
ザマァみろクソおやじが。」


「景品取られすぎて最後の方苦笑いしてたもんね
でも最後のはちょっとやりすぎ。」



そう言われコツンと麻里子の拳が頭に当たった。



「だって悔しかったんだ…
わかってたけどまだ姉弟に見られてるんだって…。」


「おチビ…。」



車で遠出して出店でお金を払う

普通なら彼氏が彼女にしてやることだもんな

それなのに俺にはそんなことできない

麻里子にも特にお金の面では大人に甘えればいいんだよって言われる

でもそういう問題じゃない

彼女にお金を払われてるってのが嫌なんだ。



「はぁ〜…。」


「よしよし
でも篠田はこうやって豪華な商品取れる方が凄いと思うけどな。」


「え?」


「おチビが篠田の彼氏っていうのは誰になんて言われたって変わらないし
こんなことができる方がカッコイイよ。」





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