family

□知ってること
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「あとは洗車して終わりだな。」


「洗車かー
俺苦手なんだよね。」


「洗車に苦手もなにもないだろっ
俺は好きだけどな。」



そう言って鼻歌を歌いながら車を洗い始めた。



「俐空って玲奈が好きなんだよな。」


「は?当たり前だろ?」


「他の人に目移りしたことない?」


「しねぇよ
一番大切で一番大好きだから結婚したんだし
なに、朔夜目移りしてんの?」


「なんで俺が…
俺だってりんちゃんが一番大切で一番大好きだよ
俐空よりもな!」


「なんで俺と張り合うんだよ…
由紀を一番に思ってるのは朔夜以外いないだろ。」



さらっと聞き出そうとしたのに出てきたのは玲奈への愛情だけ

遠回しに聞こうとした俺がバカだった

まっすぐな俐空にこの手は通用しない。



「俺全部洗ってくから流してってくれるか?」


「わかった。」


「そういえば朔夜って昔から由紀のことになるとすごい俺を敵視するよな。」


「それは…。」


「わかってるよ
俺のせいだってことは
でも俺にもどうすることもできない
心ばっかりは自分でも制御できないからな…。」



その言葉の意味にどんなことが含まれてるかバカな俺にはわからない

でも俐空もそのことで苦しんでるのは少しだけわかった。


あいつだけ良い思いしてなんなんだ!って思ってたけど

俐空は俐空でちゃんと苦しんでたんだ。



「一つだけ聞いていい?」


「なに?」


「りんちゃんのこと…まだ好きなの…?」


「さぁな…
自分の中の好きがどの意味の好きか俺にもわからない
けど嫌いだったらまだ会ったりしてねぇよ…。」



そう言った俐空の表情はなんだが優しくて

それだけでりんちゃんの事を忘れられないのが伝わった

ていうかそれよりも…。



「今まだって言った?」


「…え?」


「まだりんちゃんと会ってるの認めたな?」


「あ、いや、そのっ…。」


「俐空にりんちゃんは渡さないからなぁぁぁ!!!」


「ぶはっ!
ちょっ、朔夜やめろっ!」



俺は俐空の顔面にホースを向けて勢いよく水を噴射した。

























「ゆきりん愛されてるね。」


「朔夜さん…//」


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