唄の「オト」

□パートナー
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「勿論、自分で曲を作って自分で歌って編集するのヨ。YOUなら絶対できるはずデスー」
「はぁ!?ちょっと待て社長!!」


ざわざわとクラス中が困惑する。


私がこの早乙女学園に入学しようと決めた時、少し早乙女さんと話す機会があって彼から学園最後に行われる卒業オーディションについて話を聞いていた。
アイドルと作曲家が互いに協力して1つの曲を作ってオーディションを受けるというものだが、その時に合格できないものはシャイニング事務所に所属できないという、大切なものだ。





アイドル



作曲家





どちらかが欠けると合格するなんて夢のまた夢だと聞いている。


龍也さんもそのことを考えた上で社長の言葉に反対した。


「Miss冬鴉、YOUは一人でも大丈夫だとミーに言いました。だったらその無謀さを味わえばいいデスー」

『で、でもあれは……』


早乙女さんの目は本気だと分かる。でも実際一人だけで全てをやろうとするのは、仮にできたとしても合格なんてできないだろう。




「では、3ヶ月後の7月にテストをしまスー!!お互い納得できるまで曲を作ってつくって作りまくって下さーい!!」



窓ガラスをド派手に割って早乙女さんは下へ飛び降りて行った。他の生徒は慌てて下を見るが、そこにはいつもと変わらない姿で道を歩く学園長がいた。


「はぁ……あのバカは……。それじゃ、これからは今決めたパートナーと卒業まで頑張るように!!それと…」


窓側に集まっていた生徒を座らせて龍也さんが話をする。でもひそひそ話は続いていた。





「まあ芸能界に入れば当たり前なんだが、恋愛は禁止されていてる。もしこの決まりを守ってない生徒を見つけたら……即退学だ。事務所所属も一生できないと思え」

以上だ、と話を終わらせて龍也さんはクラスから出ていった。
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