決められた運命

□第2衝突
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━side:葵━



━━━━朝5時



目覚ましの音でゆっくりと起き上がると眠たい目をこすりながら部屋のカーテンを開けた。
私の4階にあるこの部屋は私が来るまで椿さんの私物ばかりおいてある所謂物置部屋だったらしいのだが、急遽梓さんも協力して片付け用意された場所らしい。
今日は日曜日だけど、バイトが朝から入っているし、居候させてもらっているからには何か手伝いをしたいからせめてついでに朝食の準備をしようかと起きたのだ。


右京さんからみんな5階のリビングで食事をすることや、鍵はどこにあるのかという説明は受けていたのでエレベーターですぐに5階へと上った。



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『…………とは言っても、どれだけの量を作ればいいのか把握できてないんだよね』

キッチンへ入りいざ朝食を作ろうとした時に問題は発覚した。
前までは私と絵麻ちゃん、麟太郎さんの三人分が最大だったけど、今日からは私も含めて10人分位つくる必要がある。
しかもみんな食べ盛りの年齢で男性、全く予想できなかった。




『(とりあえず、自分の分だけ作っておきがきして行けばいいか……)』



冷蔵庫の中から適当に材料を取り出して自分用の朝食作りを始めた。
多分今まで誰かがここに立って食事を作っていたんだと思うけど、とても整頓されてきて綺麗だった。



スクランブルエッグとトースト、野菜でサラダを作りコップに水を注いで運ぶ。
………久しぶりに品数の多い朝食になった。



『(…早く食べないと、遅れたら大変だし。ここから何分かかるかも分からないから)』

一人で食事をするには広すぎるリビングで食事を済ませると、使った皿等を洗い、片付けてからこの場所をあとにした。














昴「あれ、お前は……」
要「おはよう葵ちゃん、かなり早起きだね」
『昴さんと要さん?おはようございます、お二人も早いんですね』




エレベーターで一階に降りようとしたところ、一度三階で止まり昴さんと要さんが乗り込んできた。二人も下へ向かうらしく、ジャージ姿だ。


要「これから俺たちはロードワークに行くんだ、すばちゃんは毎日かかさないからね」
『こんなに朝早くからですか?昴さんって何かスポーツをやっていたりするんですか……?』
昴「俺は明慈大学でバスケをやってるんだ、だから体力づくりでやってる」
『バスケ……、だからすごく引き締まった体なんですね』





右京さんからざっと紹介されただけだからみんなをまじまじ見つめた訳ではないけど、昴さんは兄弟の中では凄く体つきが良いのはすぐ分かった。
バスケをやってるとなると十分納得がいく。


エレベーターが一階に着きみんなで外へ出る。少し肌寒い風が私たちに吹き付けた。



要「もうすぐ夏がくるとは言っても、まだまだ朝は涼しいね〜。葵ちゃん、どこに行くのか知らないけど気を付けてね!」
昴「じゃあ、俺たちは行くからな」
『要さんも昴さんも頑張って下さい!』





二人は私と反対の方へ走りだす 。

私は駅へ向かってゆっくり歩き始めた。
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