プリスト長編

□運命は始まるもの
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桜も見頃の季節が過ぎ、その花弁からヒラヒラと花びらが落ち始める、そんな時期。

高校の入学式、始業式っていうのは、そういう時にやってくる。


ピピッ、と鳴ったアラームを止めてベッドから私は起き上がった。

今の時間は朝の5時。

部屋着から制服……ではなく、スポーツウェアに着替える。
顔を洗って、髪型も整えて……ランニングシューズを履いて外に出た。

「(ふぅ……っ。やっぱり、毎日走ってないと、気が済まない)」

腕に付けた時計のストップウォッチ機能を起動させて、私は走り始めた。


一定のリズムで進む朝のランニング。
冬は寒いけど、だからと言って動かない、ってのは体がムズムズするから。

家を出てしばらく走ってから河川敷に出る。
河原沿いを走って途中の広場で折り返し戻る。この往復で20分かかるかどうかという距離は十分な運動量だと、自分では思っている。


「(………あ、れ?あの子……見たことない子だな……)」


ちょうど広場で折り返し戻る時。私のように走る人がいた。
この時間に毎日走っていれば、同じような事をする人は大体顔なじみになっていて、またいつもの人だ、となる。


でも、その「彼」は今まで見たことのない顔だった。


「…………?」
「…………っ!」


ふと、彼の視線もこちらを向いた。

走っているのに凝視なんて良くなかった。すぐに自分のランニングに集中するため視線を前に戻す。

しばらく彼も不思議そうにこちらを見ていたが、すぐに見る事をやめて走り去っていった。


「(あー、今年から趣味で始めた人かもなのに、あんなに見たら嫌がるよ誰でも………。やっちゃったなー……)」



………でも、あの顔、どこかで見たような…?


少し気にはなったけど特に深く考えることもせず、私は家へと戻った。
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