唄の「オト」

□パートナー
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十分の休憩もおわり、生徒が再び席につくと龍也さんが何か大きなものを持ってクラスへ入ってきた。




「それじゃ、これからくじ引きでパートナー決めるぞ。アイドルコースの奴はこっち、作曲家コースの奴はこっちから……」


龍也さんが2つの箱を出した瞬間、片方の箱からにゅっと手が出てきた。クラスのみんなは驚いて叫ぶ子もいたが、長い付き合いのため大体誰かわかっている。




小さな箱から学園長………早乙女さんが出てきた。考えれば分かるように普通人間があの箱から出てくるなんてありえない。
でも、ありえないことをやってしまうのが我学園の学園長なのだ。


「社長!!……ったく、あんたは毎回どうやって隠れてんだよ、あり得ねぇだろ」
「パートナーを決めるのにクジを使うのはノンノン!パートナー決めはミーにおまかせデスー!!」
「はぁ!?」





ビシッと腕を高くあげてから目の前の生徒を指差す。
「YOUは彼女とパートナーデスー、仲良くやってちょうだい!そこのYOUはこの彼、あの窓側の子は今寝ている子ネ」

次々と早乙女さんはパートナーを決めていく……途中で隣の来栖くんや一ノ瀬さん、神宮寺さんも呼ばれていった。


何だかんだ言って早乙女さんが指名したパートナー同士で皆が移動していく。そして残ったのは私一人だけだった。



「Miss 冬鴉、YOUは残念ながら一人デスー。Sクラスにくる予定だったアイドルコースの生徒が入学を取り止めたから作曲家が一人多いのヨ」
『え、じゃあ誰が歌うんですか……?』

早乙女さんのことだからきっと酷い試練を与えてくるだろうと身構える。その予想は外れていなかった。
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