Love at first sight!
□1:An entrance ceremony!
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『(うっわー、久しぶりにこの学園に来たけど改めてみると大きいよね・・・)』
満開の桜が並ぶ早乙女学園の校門から校舎の方へと続く道を見て思わずたちどまってしまった。
周りには私と同じようにきれいな制服を着た人たちがどんどん校門をくぐり歩いていくけど、その人たちはこれからライバルになるんだと思うと少しドキドキする。
早乙女学園のパンフレットを見てみるとわかるのだが、この学園はとても施設が充実していて、ダンスパーティができそうな貴賓館や近くには早乙女キングダムという遊園地もある。そのほかにもレコーディングルームなどの音楽関係の機材も整っているから本当にすごいの言葉しか出てこない。
『(しかもこの1年間学生寮で生活するなんて・・・本当にみんなと合えなくなるんだよね)』
校舎へとゆっくり歩きながらそんなことも思い出す。
この学園には学生寮が用意されていて、男子寮、女子寮と分かれている。学生寮も談話室やシアタールーム、温泉まであるものだからこの学園は本当にすごいよなって思ってしまう。
その学生寮で"プリティハープ"なんて名前がつけられている女子寮だが、基本は2人1部屋らしくこの前寮へ荷物を持ってきた日・・・・・・入寮準備の日に初対面した同室となる(らしい)女の子はやさしそうな作曲家コースの子だった。自分はかなり人見知りをしないほうだと思っているけど、私も人間なんだから苦手だと思う人だっている。今回は寧ろこの相手の子の方が人見知りが激しいらしく自然と話せるようになるまでにはあの時いたらなかった。
もっと話したいなーなんて思いながら進んでいると、突然目の前に人影が現れた。
『うわ・・・・・・っ!!』
「あ、やべえ・・・!」
ドン、と思い切りぶつかってしまい私はその反動で後ろに倒れていく。
衝撃に耐えるため目を瞑っていたけどいつまで待ってもそれがないので恐る恐る目を開けると、男の子が私の手首をつかんでいた。
・・・・・・つまり倒れる瞬間に私の手をつかんで彼が起こしてくれた、ということになる。
よく状況が理解できずにそのまま立ち尽くしていると、この助けてくれた彼が心配そうにこちらに声をかける。
「悪かったな、怪我とかしてないか?」
『あ・・・うん、大丈夫だよ!助けてくれてありがとう、おかげで倒れずにすんだよ』
「そっか、それなら安心だな!・・・・・・っといけね、今あいつから逃げてるんだった・・・!俺もう行くから、またな!!」
『・・・うん、またね!!』
短い会話を交わしたところで彼はすぐ走り去ってしまった。
ほんの少しだけ見ていただけだからはっきりとは言えないけど、彼はとてもかっこよかったと思う。綺麗な金髪にかっこよくとめられたピン、頭にかぶっていた帽子もすごくおしゃれだった。
『(またなって言われたけど、彼のクラス知らないんだよね。この制服についている校章を見ればすぐ分かるんだけどさっきはすぐ別れちゃって見る暇すらなかったし・・・)』
また学園で生活している内にもう一度出会えたらいいな・・・なんて思いながら、入学式が行われる講堂へと向かった。