HQbook
□大正解
1ページ/1ページ
元気な子だな。
クラスメイトである彼女を初めて見かけた時そう思った。
口数少ない俺にも沢山話しかけてくれたし、 思ったことをすぐ伝えるところは好感がもてた。
そしていつの間にか俺は彼女を目で追うようになっていた。
それは恋なのだと二口から言われてからというもの、俺は彼女から話しかけられてもいつも以上に言葉を返せなくなってしまった。目も合わせられなくなった。それでも彼女は俺に他愛もない話をしに駆け寄ってきてくれた。
そんな状況が続いてしばらく経った頃、
「青根くんってさ、私のこと好きでしょ?」
放課後になり教科書をしまっていた時に彼女はやってきた。そして既に空いていた俺の前の席に座りニコニコといつもの笑顔でそう言ったのだ。持っていた教科書を落とした気がする。
「それか超嫌いかどっちかかなぁ?」
そんなことを言っておいてニコニコと笑顔のままで。
あぁ、彼女には全てお見通しだったのだなと今までの自分を恥じた。
真っ赤になった俺の顔を見て彼女はこう言った。
「私、青根くんの事が好き。凄く好き」
続けて、青根くんと付き合いたいの、と顔を近付けてきたときには心臓が爆発するんじゃないかと思った。
しかし久しぶりに合った彼女の目を見たら、自然と言葉が出てきた。
「好き、だ…苗字が好きだっ!」
あの時、笑顔の中で彼女の瞳が微かに揺れたのを俺は今でも覚えている。
「……ほらねっ、大正解っ!」
end
------------------------
おまけ
「青根お前苗字の事好きだったの周りにバレバレだったからな?」
「!?」
「あの態度でばれないほうがおかしいっつの」
「〜っ!!」
「今更赤くなんなよ!お前の態度が変わっても話しかけてた時の苗字健気だったぞぉー?」
「……」
「ま、今は二人共幸せになってくれて良かったよ」
「!、二口……!」
「青根くーんっ!」
「お、噂をすれば。じゃ、俺先に部室行ってるわ。ごゆっくり〜」
「(二口、カッコいい…!)」