黒  ×  黒

□転校生来る!
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ツナ達が朝の騒ぎの理由を知ったのは昼過ぎのことだった。

午後の授業が始まる少し前、担任が一人の女子生徒と教室にはいってきた。

少し長めの黒い髪、小さい顔、はっきりした目元・・・
それにモデルのように長い手足・・・

とにかく今まで並盛中にはいないような感じだった。

騒ぎ出す教室に担任が一喝すると話し始めた。

「えーっと、本当は今日の朝紹介するつもりだったんだが・・・
 今日からお前達のクラスの一員になる
 ”神崎 司"だ。
 おい神崎、なんか一言頼む。」

どこに焦点を合わせるわけでもなく、
ただ真っ直ぐ前を向いていた司は適当に

『・・・・どうも。』

とだけ言い、ちょこっと頭を下げた。


「なんだ、それだけか?
 んじゃ、あとのコトは頼んだぞ。」


それだけ言うと担任は出て行ってしまった。

司は退屈そうにフゥーっとため息をつくと指定された席についた。


そして、司は大人しく授業を受けた。





午後の授業が終わると司は机に肘をついて
手に顎をのせ、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

クラスの女子は初めてみるタイプの女子に戸惑い、話しかけようか迷っているようだった。

男子はというとやはり気になるようでチラチラと振り返っては司を見ているようだった。

教室の外にもこの一風変わった転校生を一目見ようと見物客が集まっているようだった。

ツナはそんな辺りの様子を見ながら小声で言った。

「なんか・・・すごいことになってるね・・・」

山本がそれに答える。

「ああ、そうだな・・・。
 でもなんで朝からいなかったんだろーな?」

「きっとなんかあったんだよ・・・」

そんな二人の横で獄寺が珍しく頭を抱えていた。

「あいつ・・・どっかで見たことあるような・・・」

少し驚いてツナが聞いた。

「えぇっ!!
 獄寺くん、あの子と知り合いなの!?」

「分かりません・・・
 でも、初めてじゃないきがするんです・・・!
 クッソォ!思い出せねぇ!!」

「イタリア関係のやつだったりしてな、ハハッ!」

山本が楽しそうに笑った時だった。



ガタッ・・・


教室にいた全員が音のする方を見た。

見てみると司がフラリと椅子から立ち上がるところだった。

そして俯き気味に立つと廊下へ出て何処かへ行ってしまった。





・・・・・
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