黒 × 黒
□昔話
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少し昔話をしよう・・・
あの子の・・・あの娘の話をね・・・
イタリア某所・・・
『「ただいまっ!!」』
兄と散歩から帰ってきてもいつものような返事はなかった。
『??父さん?母さん?どこ??』
家に入っても誰からも返事はない。
『アリシア?アリオ?ラリス??』
兄弟たちの名前を呼びながら廊下を歩いてもやはり、返事はない。
ふと、目の前に扉が半開きになった部屋があった。
覗いてみるとそこには自分と一緒に帰宅した兄の姿があった。
扉を開けて部屋に入る。
『アスラン、何して「見ちゃダメだっ!」』
兄のアスランは話しかけるのとほぼ同時に、視線の先にあるものを見せないように覆いかぶさるように抱きしめた。
しかし、見えてしまった。アスランの見せたくなかった光景が。
『えっ・・・。何・・?どういう・・・こと・・・??』
そこにあったのは変わり果てた年上の兄弟たちの姿・・・
体の至るところから血を流して倒れている兄や姉・・・
『アスラン!!なんで!何でみんなこんなコトになってるの!?』
「っ・・・・!」
『ねぇっ!!なんでっ!!』
縋るようにアスランに聞くと渋々口を開いた。
「・・・いいか、キルア。
落ち着いて聞くんだよ・・・。
この家の人間はもう僕ら2人しかいないんだ・・・。
みんな・・・殺された・・・!
父さんと母さんもみんな・・・!!」
その口調は何かをこらえているように聞こえた。
『どうして!!何でみんな殺されないといけないの!?』
そうだよ、分からなくて当たり前だ。
だって・・・だってまだあの時あの子は4歳だったんだからね・・・