東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜
□幻想郷の万屋
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「一夏ぁ〜〜!あたいと勝負しろぉ〜〜!!」
「またお前かチルノ……毎度毎度懲りねぇなぁ……」
一夏が物思いに耽っているところに大声と共にウェーブのかかった水色のセミショートの髪に背中に氷の結晶の様な羽を持った少女が飛んでくる。
彼女の名はチルノ。氷の妖精という二つ名を持つ妖精であり一夏の友人(?)である。
彼女は以前一夏が解決に貢献した異変の際に出会い、スペルカードルールで倒されて以来一夏を一方的にライバル視しており、今では暇な時に一夏に戦いを挑んでは返り討ちに遭うのが定例となっている。
「お前これで何回目だ?」
「ん?え〜と…………そんな事いいからあたいと勝負しろぉ〜〜!!」
「ったく、しょうがねぇな。一回だけだぞ」
ため息を吐きながら一夏は表札を付け替え(内容は『ただいま喧しいチビの相手に行ってるので少し待て』と書かれたもの)、空を飛んでチルノと共にその場を離れる。
その後、店から少し離れた森の上空で止まり、お互い臨戦態勢に入る。
「今日こそお前をあたいの子分にしてやるんだから!」
「そんな約束した覚えは無いぞ……」
「うっさい!『氷符・アイシクルフォール』!!」
チルノを中心に氷柱の弾幕が展開され、一夏に襲い掛かる。
しかし一夏は動揺する事無く弾幕を掻い潜りながら両拳に力を集中していく。
「毎回毎回、ワンパターンなんだよ!」
打ち出された一夏の拳から魔力の弾幕が発射される。
魔力と拳の威力を併せた攻撃方法、一夏はこれを『魔拳』と呼んでいる。
「ふにゃっ!!」
凄まじいスピードで迫り来る弾をモロに喰らいチルノは瞬く間に撃墜された。
「これで勝ったと思うなぁ〜〜!!」
噛ませ犬っぽい捨て台詞を吐きながらチルノは落ちていった。