東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜
□冷めぬ想い
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「そういえば千冬姉、随分難しい顔してたけど……これから事でも考えてたの?」
「ああ、まぁな……」
食事が終わった頃、一夏から唐突に考えを読まれ、千冬は少し狼狽えながらも頷いた。
「私は怪我が治ったら外界に戻って束を説得して男でも使用できるISを作らせてから自首するつもりだ」
「なるほど、でも束さんがそれに応じるかな?千冬姉には悪いけど、正直俺は昔ほど束さんを信用できない」
「それは私だって分かってる。正直アイツを説得してもすぐには応じるとは思えない。だけど他に方法は無いだろ」
千冬の言葉に一夏は少しの間黙り込むが、やがて意を決したように立ち上がる。
「ついて来なよ」
一夏の突然の行動に戸惑いながらも千冬は一夏に従い、物置部屋へと案内される。
そこにあったものは……
「あ、IS……だと?」
そこにあったのはかなり破損してはいるものの紛れも無くIS。
IS学園でも訓練機として採用されているデュノア社製第二世代機『ラファール・リヴァイブ』だ。
「2〜3日前、幻想郷(ココ)に流れ着いたのを俺が回収したんだ。たぶん、テロか何かで撃墜されたのが回収されずにこっちに流れたんだと思う」
一夏からの説明の中、千冬は驚愕から呆然としていた。まさか幻想郷に来てまでISを見る事になるとは思いもよらなかったからだ。
しかし次に一夏が発した言葉に千冬は更に驚愕することになる。
「実は、コアを解析出来るかもしれない奴等がいる」
「な!?」
その言葉に千冬は絶句する。
ISコアの解析は世界中の各国が目標としていながら成し遂げられていない事だ。
それが解析出来る者がいるとなればその驚きも当然といえるが。
「ほ、本当にそんな奴がいるのか!?」
「うん、一応ね。一応その中の一人に話しは付けてるから明日これを取りに来てもらう予定だけど、どうする?この話、乗る?」
「ああ、勿論だ」
一夏からの問いに千冬は頷いた。
コアの解析が可能なのであれば幻想郷は最高の立地条件だ。ココならば保守派に邪魔される事は絶対にない。
千冬にとって断る理由がない。