東方蒼天葬 弐

□未確認飛行物体を追え!!
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「なーんか、久しぶりに帰って来た気がするなぁ」

 博麗神社の境内にて、魔理沙は背伸びをしながら懐かしむようにそう呟いた。
クラス対抗戦から数日が経ち、学園は3日間の連休に入った。丁度それと同時期に河城重工から一夏、美鈴、椛の専用機の新装備が完成したと連絡が入り、課w城重工所属の者達は、連休を利用して一度幻想郷に戻る事となった。

 そして新装備の受理と調整を行う一夏達三人を除き、魔理沙達は紫の能力で一足先に幻想郷へ帰還し、現在に至る。

「それじゃ、フランを待たせるといけないし、私たちは紅魔館に戻るわ。また明後日にね」

「私も白玉楼に戻ります。ココ暫く庭師の仕事も出来ませんでしたから」

 レミリアと妖夢を皮切りに皆、各々の帰る場所へ戻っていき、その場には千冬と魔理沙が残される。

「さて、私も帰るか……魔理沙、お前はどうする?」

「ん?私も一度家に戻るかな……へ?」

 魔理沙は何気なく空を見上げると同時に、魔理沙の表情は呆気に取られたようなものに変わる。

「魔理沙?どうした……は?」

 釣られて千冬も空を見上げる。
直後にその目に映ったものは…………。

「UFO?」

 現在では漫画やアニメにすら出てこないようなシンプルなデザインをしたそれ、未確認飛行物体……通称『UFO』がふわふわと浮かんでいた。





 一方、その頃河城重工の訓練用地化アリーナでは……。

「ハァアアア!!」

 気合の声と共に一夏から繰り出される新装備による一撃が訓練用ターゲットを粉々に粉砕する。
その様子と手ごたえに一夏は満足気に笑みを浮かべた。

「どう?新装備の調子は?」

「上々だ。相変わらずいい仕事してくれるぜ。サンキューな、にとり」

 新装備がかなり気に入ったらしく、一夏はにとりの問いに感謝の言葉で返す。

「この様子なら実戦でも十分使えそうだね。うん、もう上がって良いよ。あとはこっちで調整するから。あ、あと一夏にお客さんが来てるよ」

「客、誰だ?」

 怪訝な表情を浮かべながら一夏はDコマンダーを解除し、アリーナを後にする。



「一夏!」

 ロッカールームを出た一夏に慌てるような声である人物が近付いてくる。
燃えるような赤髪にバンダナを巻き、顔や腕には所々痣を作っているが、それは年齢以上の力強さを感じさせる雰囲気を持った少年だった。

「弾?お前、弾か!?」

 少年の名は五反田弾、数年前に幻想郷に転移する以前からの一夏の友人だ。

「この野郎!今までずっと音沙汰無しで、心配掛けやがって!」

 攻めるような口調で壇は一夏の首に腕を回す。しかし、その表情は怒りよりも再会の喜びの色が強い。

「悪い、でも何だってお前がココに居るんだよ?」

「俺もまぁ、色々あってなぁ……」

 一夏からの質問に弾は突然冷や汗を滝のように流し始めた。

「……お前の身に何があった?」





 場所は変わって再び幻想郷。
帰還早々UFOを目撃するという珍事に出くわした千冬と魔理沙は一度人里に降りていた。
異変解決の専門家である霊夢は神社から姿を消していたため、異変に関しての情報は皆無に等しい現状では何をすれば良いのかも分からない。加えて余分な荷物を家に置きに行きたいという考えもあったため、自宅である万屋を経由して人里にて情報収集を行っていた。

 現状で掴んだ情報は以下の通り
・数日前から不思議な大型船が浮かんでいるのがたびたび目撃されている。
・それに伴ってUFOも目撃されるようになった。
・空飛ぶ船の正体は宝船だという噂が広まっている。

(宝船というのが妙に引っかかるぜ……)

(あの俗物巫女の霊夢の事だから……)

「おじさん、袋頂戴!一番大きくて丈夫なヤツ!!」

 道具屋から鳴り響く霊夢の大声に魔理沙と千冬は「やっぱり…」と溜息を漏らした。

「待ってなさいよ、お宝〜〜!!」

 大きなリュックを背負い、霊夢は脇目も振らずに飛び去ってしまった。

「……面倒だが、私達も行くか。事が異変だとすれば放っておくことは出来ん」

 霊夢の暴走を眺めながら千冬は多少呆れがちに背負っていた大剣を構え直し、懐からPDA(改造済み)を取り出して一夏にメールを送る。

「だな。UFOはどうでもいいけど宝には私も興味があるから(もしお宝が物凄いマジックアイテムとかだったら霊夢より先に頂かないと大損だぜ)」

 魔理沙もまた、霊夢とは別の意味で邪な事を考えていた。

「それじゃあ……ん?早速手がかり発見だな」

 千冬の視線の先にはふわふわと浮かぶUFOが再び姿を見せている。

「UFO(あっち)は私が追う。お前は霊夢と船のほうを頼むぞ」

「おう!任せとけ!」

 それぞれの役割が決まると同時に二人はそれぞれの目標へ飛び立って行った。
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