東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜
□懐かしくも最悪な世界
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懐かしくも最悪な世界
時刻は午前0時、夜になり周囲が真っ暗となった頃、幻想郷と外界を隔てる結界の前に一夏の姿はあった。
「ところで、何で魔理沙までいるんだ?」
どこで話を聞きつけたのか、一夏の目の前にはかつて一夏の命を救った少女、霧雨魔理沙の姿があった。
「なんか面白そうだから私もついて行く事にしたんだ。それに一夏の姉ちゃんも見て見たいし」
「はぁ……まぁ、いいけど。あ、帽子は外していけよ。それ外界じゃ絶対目立つから」
完全に興味本位の魔理沙に一夏はため息を吐きながらも出発する準備に入る。
魔理沙の性格から考えてどの道止めた所で勝手に着いてくるのは目に見えているからだ。
「…………」
静かに目を閉じ、魔力を体中に循環させる。
既に昼間の内に何度か実験し結界の内側と外側への行き来に成功しており、外界でも能力の使用が可能である事も確認した。
今回は自分だけでなく魔理沙の中にある概念も破壊すれば魔理沙にも幻想郷と外界の行き来は(一時的に)可能になる筈だ。
(大丈夫、やれる!)
心の中で自分を激励し、己の能力を発動する。
直後に自分と魔理沙の中にある『結界を素通りできない』という概念を打ち砕いた。
「……よし、成功だ!」
「うん、こっちもOKだぜ」
二人の中でそれぞれ己の中にある何かが砕けるような感覚を覚える。これは一夏の能力がうまく発動した証拠だ。
「よし、行くぞ魔理沙。間違っても飛んでる所を誰かに見られるなよ」
「わかってるぜ!」
二人は闇夜に紛れながら空を飛び、一夏の家を目指した。