東方蒼天葬〜その歪みを正すために〜
□告白
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再会を果たし、互いに熱い抱擁を交わし終えた一夏と千冬。
熱い抱擁を終えた頃、泣いていた千冬も今ではようやく落ち着きを取り戻していた。
「落ち着いた?」
「ああ、すまない……一夏、ココは一体何処なんだ?」
まだ目を赤くしてはいるが千冬はだいぶ落ち着き、一夏に以前からの疑問を問う。
「ココは幻想郷……この世の理想郷だよ」
一夏は語る。この幻想郷は自分達の元居た世界の裏側に存在するもう一つの世界、そして人間を含めた全ての種族が種に関係無く共存する世界である事を。
「俺は誘拐犯から逃げてる途中で変な光に包まれてこの世界に迷い込んだ。そして魔理沙……さっき千冬姉にスープを持ってきた魔法使いに助けられたんだ」
「ま、待ってくれ!さっきから魔法使いとか妖精とか、何を言ってるんだ?」
次々に出てくる非現実的な言葉に千冬は一夏の言葉を遮る。
「ん?ああ、確かにいきなりこんなこと言われても信じられないか(俺もそうだったし……)。まぁ、実際に体験した方が早いか」
そう言うと一夏は千冬を抱きかかえる、しかもお姫様抱っこで。
「い、一夏!?」
「しっかり掴まってなよ」
それだけ言って一夏はベランダに出る。
「お、お前何を!?」
「飛ぶんだよ!」
そして千冬を抱きかかえたまま、一夏は軽々とベランダの柵を乗り越え、跳躍した。
「!!」
あまりにも現実味を欠いたその行動に千冬は驚愕し、思わず目を瞑るがいつまで経っても着地の衝撃が来ない。
恐る恐る目を開くと予想外の光景が目の前に広がる。
「う、浮いてる?」
一夏の体は宙に浮き、空を飛んでいるのだ。勿論何の道具も無い生身の状態でだ。
「ココでは空を飛べる奴なんてざらだよ。ちょっと魔力や気の類を扱えるようになれば簡単に飛べる」
説明しながら一夏は家に戻る。
「納得できた?」
「ああ……」
呆然としながらも千冬は頷いた。
「それじゃあ、さっきの話の続きだけど……」