作品(Normal)
□7,赤と黒と、そしてもう一つ
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俺以外が、触れることなんて許さない。
闇を走り抜ける。冷えた空気が静寂を写し、ほのかな灯りが闇を強調する。
前を駆ける銀糸が、その剣についた血を振り払い速度を上げた。ほの暗い廊下の壁に散った血はただの染みになり、もはや生命の象徴としての役割など果たさない。
自らもスピードを上げ、彼を追う。内から痺れるような高揚感。心臓を圧迫するような緊張感。ゾクゾクする。
「きやがった」
廊下の先、バカみたいに群がった雑魚共が銃を構える。次の瞬間外気に冷やされたガラスが映し出したのは、血塗られた死体。
鮫が雑魚にやられるなんて有り得ないっていうのに。
一瞬にして切り裂かれた雑魚の体。その動きに添って舞う銀色。彼だけを傷つけないように、ナイフで切り裂く。ワイヤーを繰る。それは呼吸するほど自然なこと。
これがこんなに楽しいのは
「スクアーロ」
コイツがいるから。
血溜まりを踏みつけ更に奥へと進む。撥ねた血は何の主張もせず、闇と同化した。
「この先だぜぇ」
「ししっ。どーせ死ぬんだから、大人しくしてろって思わねー?」
「遊びすぎんじゃねぇぞぉ?まぁ心配してねぇけどなぁ」
「そういうスクアーロこそ。殲滅。でしょ?」
「っは!」
ギラギラと、キラキラと。剥き出しの残虐性と、純粋なまでに楽しそうな姿に見惚れる。鉄色の瞳に映るのは、どす黒い赤。
綺麗だね。