廻らないポラリス

□水しぶきで汚した身体
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とりあえず二年天文科の教室に向かう。
歩きながら他愛ない話をして。

「そういえば今日は生徒会は無いのか?」
「はい」
「もうすぐ七夕のイベントだろうに…。準備は間に合うのか?」
「おそらく。本当は今日笹を屋上庭園に設置する予定だったのですが、手違いで届かなくて」
「相変わらず大変そうだな」

そう、もうすぐ七夕。
星月学園では大々的に屋上庭園を飾り立て、願いを書けるようにする。
早く準備を進めたいものだ。

「お、着いたね」
「あ、はい」

考えているうちに着いてしまった。
教室をのぞき込むと、特徴的な亜麻色の長い髪が見える。

「すみません、月子さん」
「あ、颯斗君!どうしたの?」
「ちょっと聞きたいことがありまして」
「うん、何…って、奏羽先輩!」
「やあ。元気そうだな」
「はい!」

僕の後ろの奏羽先輩を見つけ、彼女は嬉しそうに笑う。
悪いことじゃないけれど、それは教室にいた天文科の人々にも伝わり。

―おい、あれが"姫"って人か?
―マドンナと姫のツーショットだ!

"姫"。
奏羽先輩は、学園の姫だと言われている。
喋り方や美しさ、三年生であることが影響して高嶺の花だとか。
僕も最近知ったのだけれど。
そして月子さんはマドンナ。
明るく優しく可愛い学園の女神。
そんな二人が一堂に会しているのだ。
当然ざわざわと騒がしくなる。
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