廻らないポラリス

□貴女の目は僕の目の奥を捉えて
2ページ/2ページ


準備をしながら質問し、占い始める。
今日はとりあえず基本的な情報でいいだろう。
まずは自分を知るところからだ。

「…君はメランコリーが強いね」
「はい?」
「整地した農地のような人だ」
「え…」
「動きを止めている。それでいて形は留めている」

そこまで言って、私は言葉を止めた。
全て言っても仕方ないか。
必要なときに、また言おう。

「どういう、意味ですか」
「いずれわかるさ」
「……はい」

彼は少し下を向いた。
この反応、いずれ、と言わず多分今もわかってるのかもしれない。
だとしたら、何を思っているのだろう。

私は思考を巡らせながら、道具を片付ける。
全て脇に寄せてから再び声を掛けた。

「またおいで、青空君。いつでも扉は開いている」
「え…。どうして、僕の名前を?」
「副会長だからかな」
「ああ、成程。貴方のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「そうだね。ペンギンとでも呼んでもらおうか」
「ぺ、ペンギン?」
「占い師は確かな幻影であるべきなんだよ」

面食らっていたようだが、しばらくして彼は納得したようで。
また微笑みを浮かべて去っていった。

「ありがとうございました、ペンギンさん」

今度は、普通の笑顔で。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ