廻らないポラリス

□けれど滲む世界
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あれから僕は、気紛れにあの空き教室に行くようになった。
その度にペンギンさんは「また来たの?」と笑っていた。
僕は何故か、自然でいられた。
安心感があった。

そうして何度か行くうちに気付いたことがふたつ。
意外と人が来ること。
そして、ペンギンさんがおそらく女性であること。
声と身体の線と立ち居振る舞いから見てとれた。

月子さん以外の女子生徒。
調べればすぐに素性がわかるだろう。
けれど僕はそうしたくなかった。
彼女は、"ペンギン"さんであるべきなんだ。



「こんにちは」
その日も、僕は彼女のもとに向かった。
けれど返答がない。
中を見回しても誰もいなかった。
どうしたというのだろう。

「ペンギンさん?」

そこはいつもの安心できる空間ではなく、ただの空き教室に成り下がっていた。
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