廻らないポラリス

□もがいては沈む先の光
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あの日以来、僕は動き始めた。
彼女―ペンギンさん―の素性を知るために。
最初は知らなくていいと思っていた。
けれど、知らなければ近づけもしない。
涙に気付くことすら許されない。
それではあまりに悲しい。
知ることは簡単だ。
都合のいいことに、生徒会には月子さんがいて、白銀先輩もよく来るのだから。


「それでね、あのね…」
「月子さん」
「ん?」
「貴女がいつも話す、その先輩は何という名前なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ」
「ええ」
「名前は境井…」
「番長」
「あ、白銀先輩」
「ちょうど俺、その子に用事あるんだよねー。ついて来てくんない?」
「は、はい」

月子さんの話を遮り、白銀先輩が入ってくる。
そのせいで名前が聞き取れなかった。
仕方ない、か。
それでも名字は聞けた。
境井先輩。
境井先輩。
忘れないように頭の中で繰り返しながら、僕は白銀先輩を追った。
彼が、どんな表情で先を歩いていたかも知らずに。
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