廻らないポラリス
□片足突っ込んだ水溜まり
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「ペンギンちゃん」
「ああ、おはよう桜士郎」
「おはよ。今日も早いね」
毎朝、彼女は一番早く教室に来る。
そうして俺は二番に来る。
寝坊ばかりしていた俺だけど、それを知ってから早起きしてる。
…まあ、時々失敗するんだけどさ。
「ペンギンちゃん、アレは最近どー?」
「ああ…。よく来る奴が一人出来たかな」
「!」
「桜士郎もよく知る奴の筈だ」
「…誰?」
「プライバシーについては答えられないと何度言えばいいんだ」
「ごめんごめん」
彼女と二人きりの朝。
俺にとっての大切な時間だ。
だって、たった一人の幼なじみだしね。
今はそれは、彼女の希望で伏せてるけど。
「桜士郎、心配はいらないよ」
「でも」
「大丈夫。同じ過ちは犯さないさ」
「………奏羽」
「…何。名前で呼ぶとは珍しい」
「奏羽は幸せにならないと駄目だ」
「逆だって。私は幸せにはならない。まあ、なりたくもないしなれないだろうがね」
「…っ…」