廻らないポラリス

□水しぶきで汚した身体
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「それで、月子さん」
「あっ、ごめんね。それで、何だっけ?」
「このシャープペンシルに見覚えはありませんか!」
「あ、私の!ありがとう!」
「いいえ」

やはり当たりを付けた通り、月子さんの物だった。
最近落として探していたらしい。
見つかってよかった。

「それにしても珍しい組み合わせだね」
「そう…ですね」
「知り合いだったの?」
「ええと、」

何と言ったら良いだろう。
とりあえず適当に口を開いたところで、後ろから声がした。

「桜士郎や一樹経由で知り合ったんだ。特に桜士郎はよく生徒会の話をするからな」
「そうなんですか!私の変なところとか言われてません?」
「はは、そうだな…。茶が不味いとは聞いたが」
「うっ」

二人は二人で談笑を始める。
微笑ましく思いつつもつい手持ち無沙汰になり、
ふと天文科の教室内を覗くと。

「…え?」

七海君と東月君が、厳しい目でこちらを…いや、奏羽先輩を見ていた。
ちらちらと見てくる羨望や興味の眼差しと混ざり合って酷く気分が悪い。
どうして彼らは、先輩を睨んでいるんだ。
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