廻らないポラリス

□願えることもないからと
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「俺が飾ってやるよ」
「…身長…」
「うるせー!」

「あ、ぬいぬい!…と、誰だ?」

突如、後ろから声。
まだ少し幼さの残る、よく響く声。
思わず振り向くと生徒会が勢揃いしていた。


「おう、翼!」
「翼?…月子に青空君も」
「先輩!お久しぶりです!」
「こんばんは」

随分賑やかになってしまった。
生徒会が揃いも揃ってここに理由を聞いてみた。
何でも、この飾りは明日には取り外すらしい。
その前に皆で見に来たんだとか。
相変わらず、仲がいいようだ。
しかし。

「君とは初対面だな。私は境井奏羽。君は?」
「俺は天羽翼だ!ぬいぬいや書記やそらそらから奏羽の話は聞いてるのだ!」
「ぬ、ぬいぬい?そらそら?」

まさか、と思って一樹と青空君を見る。
表情で大体事情がわかった。
随分と可愛らしいあだ名だな。

「翼は生徒会会計なんだ」
「仕事しませんけどね」
「ぬわ、そらそら怖い…」
「…ふふ」

笑みが零れる。
生徒会は暖かく楽しげだった。
皆が幸せそうに笑っている。
青空君でさえも、心から。

少し羨ましくなりながら、視線を外して空を見る。
天の川が広がった。
アイツがあの星の中の一つになってたらいいのに。
そうしたら私は、何か願えるだろうか。
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