廻らないポラリス

□羨ましかった温もりの中
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***

「と、いうわけで今日から生徒会を手伝ってくれる境井奏羽だ!仲良くやれよー」
「……は?ちょっと待て」
「月子には今日から大会まで部活に専念してもらうことにしたから、ピンチヒッターだ」
「私は聞いていない!」
「今言ったからな」
「〜〜っ、この…」

奏羽は何か言いたげに拳を握りしめ、唇を震わせる。
けれど途中で息を吐き、諦めたように笑った。
こいつは三年間で俺の性格をわかっている。
断れないと理解したんだろう。

「…もういい。わかった」
「悪いな」
「どの口が言うんだ。とりあえず、青空君に天羽君も改めてよろしく」
「ぬんぬん!翼って呼んでほしいのだ」
「そうですね。生徒会では名前で呼び合うのがルールですから」

二人の言葉を聞いた後でこちらを向いた奏羽の顔には、はっきりと「お前の作ったルールだろ」と書かれていた。
ああそうだ、何か悪いか。
だから俺は、誇らしげに言ってやる。

「そうだ。俺がルールだ」
「この前髪野郎」
「うるせ」

三人に改めて自己紹介をさせながら、俺はやはりこいつを引き込んで良かったと考えていた。
颯斗がこいつの元に通い始め、桜士郎がそれを認めたのは聞いた。
少しはその手伝いをさせてもらおう。
二年前の入学式のあの日、月子に声を掛けることを後押ししてくれた礼だ。
誉と桜士郎と奏羽。
三人にはこれでも感謝してんだ、いろいろ。
だからこそ、全員俺が笑顔にしてやる。
まあそんなこと言ったら、きっと「その前にお前が笑顔になれ」とか言われるだろうが。
…本当に、いい友人を持ったもんだ。
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