廻らないポラリス

□羨ましかった温もりの中
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「で、翼に颯斗に一樹。私は何をすればいい?」
「ぬ?書記は書記だったから書記じゃないのか?ぬいぬい!」
「…ええと、青空く…じゃなかった、颯斗。彼は何を言っている?」
「月子さんは書記だったので、先輩にも書記をしてもらうのではないですか、会長…という意味です」
「ああ、そういえば一樹はぬいぬいだったな」

感慨に耽っていた俺の方を、今度は面白そうな表情で見る。
…笑顔だけど、笑顔だけどこれはイラッと来るな!

「ははっ、やっぱり面白い渾名だ。年を考えろ」
「笑うな!文句は翼に言え!」
「ちなみにそらそらはそらそらだぞ!」
「…ぷっ。そうだった」
「奏羽先輩!笑わないで下さい!」

ぎゃあぎゃあ騒ぎ、笑い合い。
奏羽が来たのが嬉しかったのか、今日は颯斗の雷が落ちるのは遅かった。
…まあ結局落ちたんだけどよ…




「それでは、今日はこのくらいにしますか」
「ぬわー!やっと終わったのだ…」
「すみません、手伝わせてしまって」
「大丈夫。楽しかったしな」

時間は午後六時。
仕事も一段落して歓談を始める頃。
皆の話を聞きながら俺はまだ手を動かす。
ヤバい、ここまでは終わらせないと颯斗の雷がまた落ちる。

「ぬ?ぬいぬいまだ終わんないのか?」
「うっ」

三秒でばれた。
翼の野郎…なんで気付きやがるんだ…
予想通り、にっこりと黒く笑った颯斗が近付いてくる。
ヤバいヤバいヤバい。
いや、行ける!

「会長?」
「ぅ終わったぞー!」
「…残念。お仕置きはまたの機会にしましょう。お疲れ様です」
「颯斗って意外と腹黒いんだな…」
「だろ?奏羽。同情してくれ」
「いや自業自得だ」
「…お前も結構腹黒いよな…てか性格悪い」
「うるさい」
「か・い・ちょ・う?」
「うわわわわ」
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