廻らないポラリス

□あなたという存在を見つける
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「一樹、これお願い」
「会長こちらも」
「…お前ら容赦なさすぎ」
「いいから早く仕事を進めてくれ」
「奏羽先輩の言う通りですよ」

生徒会の手伝いをしてくれている奏羽先輩は、髪をひとつに括って書類と向き合っている。
暑いし邪魔だからさ、と先ほど見せた笑顔が脳裏に焼き付いている。
学園の姫、だなんて言われてるけれど、彼女は普通の人だ。
会長に文句を言って楽しんだり真面目だったり適当だったり。
男女比率の崩壊しているこの学園では、女子生徒は神格化されるきらいがある。
それは月子さんにもいえることだけれど。
…ただ、奏羽先輩は影がある。
名前も知らず、かける言葉もなかったあの日のことが忘れられない。
けれど、名前以上のことはまだ知らないことばかりだ。
一樹会長が奏羽先輩を生徒会に引き込んだ理由はすべてはわからないけれど、この機会にもう少し近づけたらと思う。
せっかく、僕を見てくれた人だから。

「颯斗?何か私に用事か?」
「…あ、いえ、すみません。何でもありません」
「そう。珍しいな、君がぼうっとしているのは。一樹と違って真面目だからな」
「一言余計だ!」
「事実だろう」
「ふふ」

そのやりとりに自然に笑みが零れる。
2人は仲の良さが伝わってくる。
…少し、うらやましい。
そんな気持ちを切り替えるように、アイスティーでも用意しようと僕は立ち上がった。
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