廻らないポラリス

□あなたという存在を見つける
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自分で買ってきたチョコバーをかじりつつ、奏羽に声をかける。
奏羽は、グレープのアイスバーを咥えて近づいてきた。
わかってて差し入れに来てるけどさ、相変わらず好きだね果物系。

「で、何だ?どうせ私や一樹の様子でも見に来たんだろう」
「いんや〜〜??こんな暑い日に頑張ってる生徒会さんに差し入れしようと思ってね〜」
「さっきついでと言っていたのはどの口だ…。まあ、ありがとう」
「……奏羽が楽しそうでよかった」
「…そう」

生徒会の空間は、優しい。
それはきっと、みんな痛みを知っているから。
学園一の情報通の俺だって知らないことはあるけど、ここのメンバーのことは何となく察してるところもある。
一樹が奏羽を引きずり込んだのも、優しさなんだろう。
大事な人を作ることや小さな幸せにすら臆病な奏羽には、きっとちょうどいい。
…番長もいるしね。
俺にとっちゃ希望の星的な番長に目を向ける。
アイスにはしゃぐエジソンくんと一樹を諫めながら楽しそうにしている。

「…幸せってのには種類があってさ、いろんな幸せを感じるのはきっと、良いことだよ」
「……何の話だ」
「さあね〜〜…あーーーーっエジソンくんアイスは1人1本!!!」
「えーーー」
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