廻らないポラリス

□見たくないものにも手が届きそうだ
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文化祭を前にして、奏羽が学校に来なくなった。
否、おそらく時々来てはいる。
きっと、あの空き教室には。
でも教室と生徒会室には来ない。
だから理由なんて、簡単に想像がついた。
修学旅行でお土産買わせたの、荒療治すぎたかなぁ…
ぐるぐるとめぐる思考を話すでもなく呟いて、珍しく真面目に仕事している一樹を困らせてみる。
ちなみに他のみんなは巡回中だ。

「どー思う、一樹?」
「あいつのことはお前の方がわかってるんじゃないのか」
「第三者的目線が大事なときだってあるじゃん?」
「…俺はお前らの事情はそこまで詳しくない。けどな、飛ぶためには助走が必要だろ。奏羽の欠席はそういうことなんじゃないのか」
「…だといいんだけどねぇ」
「ああもうまだるっこしい!桜士郎!颯斗連れて見舞いに行ってこい!!」
「それこそ荒療治すぎない!?」
「悪いようにはならない。それは俺が保証する」
「……なら、ちょっと考える。さんきゅ、一樹」
「おう」

と、いうわけで。
俺はまず番長と話すことにした。
みんな帰って誰もいなくなった生徒会室に残ってほしいことを伝えたら、察したみたいで神妙な顔で頷いていた。
…今回は流石に、アイツのことを話さなきゃいけない。
別に話したくないとかではなく、俺だって奏羽と同じように、心の中で蹴りがついていない。
だからというわけじゃないけど、番長に詳細まで伝えるつもりはない。
俺と奏羽が見たものは同じだけど、感じたことはたぶん違っていて、だから奏羽が語るべきことだと思うから。
…一流のジャーナリストは、情報の正確さを大事にしなきゃだしね。
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