廻らないポラリス

□その先で見えるものは
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私が学校をサボり始めて数日。
現実から逃げるように、というか実際逃げるために、私は占いの練習に没頭していた。
何度目かの着信音が鳴って、気まぐれに携帯を見る。
桜士郎からのメールだった。

“このあと、番長と行くから。部屋片付けておいた方がいいんじゃない?”

余計なお世話だ、馬鹿野郎。
このタイミングで2人が来るってことは、もう桜士郎はあいつのことを話したんだろう。
…どんなふうに、語ったんだろうな。
立ち上がって掃除機を取りに行く。
本当に部屋の片づけを始める自分に笑えてくる。
自分でももうわかっている。
生徒会が、颯斗が、大切になっていて、その罪悪感と恐怖で動けないのだ。
私にはあいつしかいない、私のせいであいつは死を選んだ、だから私はもう幸せにはならない、そう思い込んだままでいたかった。
だって、そうしないと。
もしあいつが満足して死を選んだなら、私にできたことは無かったのだと、思い知らされるから。
頑張れば止められた、私が辿りつけなかった別の可能性があったのだと、夢を見ることさえ叶わなくなるから。
彼の死を受け入れたくなくて、ただそれだけで。
だから私は私を罰したのに。

コンコン。
軽いノック2回、次いで私を呼ぶ声。

「奏羽〜〜」
「奏羽先輩、いらっしゃいますか」

ああ、そろそろタイムリミットみたいだ。
あいつに、みんなに向き合って、前に進まなきゃいけない時間。
……ねえ、君ならこんなとき、どんな表情をするかな。
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