廻らないポラリス

□新しい世界への流星
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携帯が震えた。
メールを開いて、添付画像を見る。
ブレブレの…奏羽先輩だ。
これは何の衣装だ?よく見えない。
文面には「奏羽、コスプレで占い中!」の文字。
白銀先輩のメールアドレスだった。

「…で、わざわざ来たのか」
「来ちゃいました。魔女の衣装だったんですね。とてもお似合いです」
「まったく、みんな悪ふざけがすぎるよ」
「いいじゃないですか、可愛らしくて」
「…颯斗まで…。まあいい、ありがとう。で、何を占う?」

そういえば考えずに来てしまった。
先輩の衣装にばかり気を取られていて。
僕の表情からそれを察したらしい先輩は少しあきれ顔で笑って、ならこれからの颯斗でも占うかと提案してくれた。
机の上に示されたのはタロットカード。
言われるまま、なんとなく一枚を選んだ。

「…"月"のカード、逆位置か」
「月?逆位置というと…」
「…これからも颯斗はいろいろなことに迷うよ。でも…きっと君は最後に正しいものを選ぶことができる」
「あ、はい」
「自分と対話することをやめないで、大事なものを間違わないで。さすれば道は開かれん、ってやつだ」
「ありがとうございます…?」

相変わらず、占いの内容はあまりわからない。
なんだか本当に最初に会ったときみたいで不思議な気分だった。
あのときに比べて、僕は奏羽先輩のことをたくさん知った。
つらいことも、たくさん。
それでもこの人が目の前で笑っていてくれたら、それはとても素敵なことだと思った。
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